日本は円高受け入れへ政策の大転換をすべき


日本の対外純資産は2010年末で251兆4950億円。経常黒字を積み上げ続け、世界最大の純債権国の座を20年保ち続けている。円高で09年よりも15兆円近く減ってもなお、2位に迫る中国と100兆円超の開きがある。一方、米国は経常収支の赤字を続け、252兆円(09年末)の世界最悪の純債務国である。

ボロボロの外為特会

野口悠紀雄早稲田大学大学院顧問は、東日本大震災直後の円売りドル買いの為替協調介入について、「震災で家が失われたら、貯金を下ろして家を建て直すのが常識なのに、ガイトナーという支店長が怖くて貯金をさらに積み増した」と揶揄する。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、「政府は為替介入のために110兆円余りを借り入れて外債に投資する円キャリー取引を行い、外国為替資金特別会計には、30%以上に当たる40兆円近くの含み損を抱えている」と指摘する。

「きちんとクーポンをためていたら、収支はトントンになるが、クーポン収入を使ってしまっているので含み損状態になっている」(佐々木氏)。外貨準備の額は復興に必要とされる10兆~20兆円を軽く上回るが、外貨準備を取り崩したら一気に損が表面化する。これが“埋蔵金活用”とされる事柄の本質だ。

野口氏は「そもそも財務省は外貨をTB(短期国債)で運用しているので、過去の平均運用利回りは3%でしかない。10年債を買えば5%は実現できていたはず。対外関係をめぐっては信じられない愚かなことが行われている」と批判する。

輸出企業にとってはマイナスでも、国民としては購買力を増す自国通貨高を喜ぶのが世界の常識だ。国民を挙げて、自国通貨高を嫌なことのように語るのは、日本だけだ。いいかげんに米国に貢ぐ立場から降りて、輸入を増やし国内消費を増やして債権大国らしい豊かな生活を志向できないか。

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