日本は円高受け入れへ政策の大転換をすべき


借金を重ねて消費を拡大し続けることで米国は経済成長してきた。基軸通貨国であり、ニクソンショック(1971年)で金の縛りから解放されて以降は、必要なら紙幣印刷へ輪転機を回す。95年以降は強いドルを標榜して資本流入を促した。

根源に日本の黒字蓄積

一方、日本は戦後、輸出によって外貨を積み上げてきたが、外貨準備が十分な額に達し、プラザ合意で円高による修正を迫られても、内需型・消費型への構造転換を果たすことができなかった。輸出志向、円安志向が消えない。円高のたびに金融緩和策や為替介入を繰り出してきた。円キャリートレードで余った資金が世界に回った。

日米とも不均衡を放置したまま、金融緩和に過度に頼り、バブルを発生させることでしのいできた。この構造はリーマンショック後も変わらないどころか、財政が手詰まりになる中で、金融緩和への政治的な圧力が高まり続けた。

金利政策が限界に達し、中央銀行は量的緩和を採用しただけでなく、自ら信用リスクを取って財政政策に踏み込むまでになった。米国の“QE2(量的緩和第二弾)”も日本の“包括緩和”も麻薬のようなものだ。本質的な問題を放置したままで中毒患者となっている。

日本の金融市場に格付けを導入したエコノミストの三國陽夫氏は、日本が経常黒字をドルのまま米国に預け、資本流出させていることが90年代半ば以降の日本のデフレ・低成長の原因であると主張してきた。

「経常黒字の拡大という政策が成功すると円高になる。円高を嫌がってドルを円に換えて回収せず、米国にドルで貸したままにすれば、購買力が米国に移転して流動性不足を生じ、国内の投資・消費を減少させるので、所得減退と消費減退の罠(わな)に陥りデフレ・低成長になる」と説明する。

こうした状況下で日銀が金融緩和を行っても、資金は国内に回らない。つまり、経常黒字を積み上げることが自らの首を絞めているというわけだ。

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