金曜は「休日」扱い、ロンドン鉄道運賃割引の狙い 週末「オフピーク運賃」を拡大、生活に変化は?

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今回のトライアルは3月8日に始まり、5月31日まで実施される予定だ。狙いについて、ロンドンのサディク・カーン市長は「ロンドン中心部のサービス業への支援が主な動機」と述べている。トライアルの実施はTfLにとって2400万ポンド(約47億4680万円)の減収になると見込まれているが、実際には金曜日の地下鉄・バスの運行数も平日より絞っているので、コストもその分減っている。

ウォータールー駅
ロンドン・ウォータールー駅。平日の夕方はそれなりの数の退勤者がターミナル駅を利用している(筆者撮影)

筆者はトライアル開始後の金曜日、日本から来た訪英客とともにロンドンを巡ってみたが、週末と違い欧州大陸などから来る観光客が少ないため、どこでもスムーズに入場でき、地下鉄やバスでも必ず座れるなど、快適に回ることができた。

ロンドン 金曜朝
金曜日午前9時前のロンドン中心部(筆者撮影)

金曜日「週末化」は定着するか

運用開始に当たり、カーン市長は平日の金曜日の交通量が他の曜日に比べて低いことから「経済活動の促進や市内への通勤者増加を目指す」と説明。「公共交通の利用者数を増やし、ビジネス活動の支援方法として効果的かどうかを見極める」とも述べている。ビジネスの活発化のみならず、劇場やコンサート鑑賞、博物館の観覧といった文化活動に参加する人々への経済的な支援も念頭にある。さらに、観光やショッピング、エンターテインメントを楽しむためにロンドンをめぐる人々へのメリットも期待されている。

しかし、一部の市民やカーン市長と対立する政治家などは、このトライアルについて「選挙対策」と批判。「持続可能な交通政策ではなく、短期的な選挙戦への利益を追求しているのでは」との見方もある。

金曜日の「週末化」導入について、効果に対する意見は分かれているのが現状で、人々の受け入れ方もまだまとまりを見せていない。3カ月余りのトライアルの結果が、今後の方針決定に影響を与えることになるのは間違いない。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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