金曜は「休日」扱い、ロンドン鉄道運賃割引の狙い 週末「オフピーク運賃」を拡大、生活に変化は?

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こうした極端な状況は数字の上でも明らかだ。

ロンドンの公共交通の利用状況統計を見ると、このところ金曜日の乗車率はことのほか低い。例えば、4月5日(金)のロンドン市内を走る公共バスの利用率は、コロナ禍前の2019年の同日と比べ約24%減少、地下鉄は27%も減っている。ただ、筆者の実感では半分以下まで減っているのではないかという印象を受ける。学校が少ない都心は通勤利用者が大半を占めるため、減り具合がより顕著なのだろう。

WFHの普及により、金融街のシティーを中心に行われていた仕事後の飲み会も、木曜日が“新たな金曜日”となったことでその様子は様変わりしている。コロナ禍前は金曜日の午後から夕方にかけてパブが混み合っていたが、こうした習慣さえも変わってしまった。

ロンドン地下鉄 エスカレーター
地下深いホームと改札階を結ぶエスカレーターも人影はまばらだ(筆者撮影)

「オフピーク」どれだけ安くなる?

ここで、改めてロンドンの公共交通料金設定の仕組みについて説明しておきたい。

ロンドンでは、通勤・通学者が多い時間帯を「ピーク」と設定。平日の朝6時半~9時半、午後4時~7時の時間帯に改札内に入場するとピーク運賃が取られる。一方、土・日・祝日の全日および平日のその他の時間帯は「オフピーク」に設定しており、鉄道(地下鉄や旧国鉄のナショナルレールなど)の片道運賃がピーク運賃よりおおむね3〜4割安くなる。

この「オフピーク」設定が金曜日にも導入されたことで、通勤者にとってはかなりの費用節約が期待できる。具体的には、都心から西郊外にあるヒースロー空港までの移動はピーク運賃だと5.60ポンド(約1100円)かかるが、オフピーク運賃なら3.60ポンド(約710円)にとどまる。また、郊外エリア相互間の行き来はピーク時なら2.80ポンド(約550円)かかるが、オフピーク運賃が適用されれば1.90ポンド(約375円)まで下がる。

ロンドン ウォータールー駅 金曜朝
金曜朝のロンドン・ウォータールー駅(筆者撮影)
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