中国ディスプレーパネル大手「TCL」の業績上向く 市場の需給バランス改善で事業損益が黒字化

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CSOTはもともと、テレビ用の大型液晶パネルに強みを持つ。TCL科技集団の決算報告書によれば、同社の市場シェアはテレビ用パネルでは世界第2位、55インチと75インチのパネルでは世界首位だという。

スマホ用の小型パネルでは、CSOTは有機EL(OLED)を主力にしており、2024年1~3月期の市場シェアは世界第3位だった。

TCLはパソコン用の中型パネルでもシェア拡大をもくろむ。写真は同社が開発した14インチのOLEDパネル(TCL華星光電技術のウェブサイトより)

同社はさらに、パソコンやタブレット用の中型パネルでもシェア拡大の機会をうかがっている。TCL科技の経営陣は決算説明会で、「この分野で世界の上位2社に入りたい」と意気込みを示した。

太陽光パネル事業は苦況に

ディスプレーパネル以外の事業を含めた2023年のTCL科技集団の総売上高は1743億6700万元(約3兆7710億円)と、前年比4.7%の伸びにとどまった。しかしディスプレーパネル事業の黒字化により、純利益は22億1500万元(約479億円)と前年の8.5倍に増加した。

同社の2022年の決算では、ディスプレーパネル事業の落ち込みを太陽光パネル事業の成長が補った。ところが、今や状況は真逆になっている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

太陽光パネルの中核子会社、TCL中環新能源科技の2023年の売上高は591億4600万元(約1兆2791億円)と、前年比11.7%減少した。その主因は、中国の太陽光パネル業界が需要の伸びを上回るペースで生産能力を拡大し、過当競争に陥ったことだ。

「太陽光パネル業界はサプライチェーンの川上(の原材料)から川下(の完成品)に至るまで、どこを見渡しても赤字だ」。TCL中環新能源科技の責任者は決算説明会で、目下の厳しい実態をそう語った。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は4月30日

財新 Biz&Tech

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