カナダの銀行がカリブ海で大損を出している FIFA不正献金がダメ押しになり撤退も
カナダの銀行は、サブプライム住宅ローンの混乱に深く陥った米国の銀行と違って、金融危機の際、誠実さと保守的な貸し出し姿勢で評判を高めた。そのイメージは、直近の2013年にCIBC、RBC(ロイヤルバンク・オブ・カナダ)、ノバスコシア銀行の貸出のうち60%超を占めていたカリブ諸島で、崩れ去りつつある。
CIBCは2014年、CIBCファーストカリビアンへの投資について、資産価値の減損と貸倒損失により5億4300万カナダドル (4億3500万米ドル) の損失を計上している。
CIBCはこの地域に深く失望し、もし買い手を見つけることができれば、CIBCファーストカリビアンを売却しようと躍起になった、と同行の戦略を知る人物はロイター通信に語った。CIBCはコメントを拒否した。
カナダ最大の銀行もジャマイカで損失
カナダ最大の銀行であるRBCは2014年、ジャマイカでの事業を売却して1億カナダドルの純損失を計上し、さらに同地域でのリストラと従業員給付のため3200万カナダドルの費用を計上した。
また、カナダ第3位の銀行で、「スコシアバンク」の名で知られるノバスコシア銀行は、カリブのホスピタリティー関連のポートフォリオに関する貸倒損失を主な要因として、2014年第4四半期の貸倒引当金を積み増した。
カリブ地域でのスコシアバンクの最大の貸付問題のひとつになってきたのは、バハマでの35億ドルのバハ・マール巨大リゾートおよびカジノ・プロジェクト用に土地を整理するのを手助けするため、同行が進めた2億3300万ドルのシンジケートローンだ。このリゾートはなおオープンしようとしているが、6月29日にはデベロッパーが米国で破産申請をしてしまった。
スコシアバンクは、バハマ・プロジェクトの現状についての最新情報を求めるメッセージに対して、すぐには返答してこなかった。同行は、中国輸出入銀行との新たな資金供給の取り決めの一部として、債務の株式化を通してこのプロジェクトに投資した。中国輸出入銀行は2010年、24億5000万ドルの資金をこのプロジェクトに供給して救済している。
スコシアバンクは、FIFAスキャンダルによって「大いに困惑した」状態に置かれてきた、と同行の立場に詳しい情報筋は明かした。同行が12月に、北中米およびカリブ地域のサッカー連盟であるCONCACAFと結んだマルチトーナメント方式の複数年のスポンサー契約があるためだ。
ジェフリー・ウェッブ氏とジャック・ワーナー氏という2人の元会長、それにマーケティング権会社のトップを含めたCONCACAFとつながりがある数人が、米国検察に起訴された。ブレイザー氏も、CONCACAFの元理事である。