「せっかちすぎてミス」発達障害の人が抱く焦燥感 自分とは「時間の感覚が違う人」に合わせる

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会社員のYさん(38歳・男性)は、仕事でも、相手が電話に出るのが遅いとイライラ、メールの返信が遅いとイライラ。すぐに答えを求め、結論が出ない会議にもイライラ……。メールにも思いつきでぱっと返信をしてしまい、早とちりしてしまったり、逆に、説明を端折りすぎて理解されなかったりすることもあります。

「なぜ周りの人が悠長に構えていられるのかわかりません」と言うYさんのような人は、定型発達の人とは、“時間の感覚が違う”と考えてもよいでしょう。

自分とは"時間の感覚が違う"人がいる

(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

必ず結論から話すことで、会話もスピーディーになります。行動を予測し、次に望みそうなものを先回りして用意しておくことも大切です。仕事の報告をするときは、突っ込まれそうなポイントは、あらかじめ答えを用意しておきましょう。

『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

このように、せっかちな人に合わせていると、自然と自分の考え方や行動から無駄が省かれていくメリットもあります。

生きづらさを抱えるあなたへのヒント!

せっかちは必ずしも欠点ではありませんが、もし改善したいと思っているのなら、「しないこと」を意識しましょう。

「人の話をさえぎらない」「せかすように相づちを打たない」「人のペースに口を出さない」などなど。

こうした「しないこと」を少し意識すれば、あなたはより付き合いやすい人になっていくはずです。

岩瀬 利郎 精神科医、博士(医学)

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いわせ としお / Toshio Iwase

東京国際大学医療健康学部准教授/日本医療科学大学兼任教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士・公認心理師。著書に「心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版」、「心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版」(ともに共著、翔泳社)など。メディア出演に、テレビ東京「主治医が見つかる診療所〜寝起きの悪い人と寝起きのいい人の体は何が違うの〜」、 NHK BS プレミアム「偉人たちの健康診断〜徳川家康 老眼知らずの秘密〜」など。

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