ムーミンパークが"埼玉の奥地"を選んだワケ 成功の要は「非クルマ」の交通アクセス整備

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「ムーミンゾーン」の完成予想図

「当初は都心型で3000坪(約1万平方メートル)程度の、比較的小規模なパークにする方向で動いていたが、やはり森や湖、本物の自然がないと、ムーミンのイメージを出せないだろうと。そこからいろいろな策定をやり直した結果、(予定地の選定が)遅れた。かつ、広大な敷地に広大な開発が必要なので、今から丸2年はかかる」(玉井社長)。

最終的に予定地に決定したのが埼玉県・飯能市だ。実は同市、トーベ・ヤンソン氏お墨付きでムーミン童話の世界を再現した「あけぼの子どもの森公園」(1997年設立)を持っているなど、ムーミンにはもともと縁がある。2013年にフィンテックがムーミンのテーマパークを作るというニュースが出るやいなや、早速市を上げての誘致活動に乗り出した。

誘致成功の決め手となったのは、「とにかく、現地に何度も足を運んでもらえるよう努力したことだろう」と、大久保勝・飯能市長は分析する。地元産木材をふんだんに使った市立図書館や、前述のムーミン谷公園などを紹介し、「自然と共生する街」というイメージを積極的にアピールした。

「社長はもちろん、(フィンテックの)多くの社員の方に何度も来てもらった。今では湖畔の地域のことは、自分よりも彼らのほうがよく知っているかもしれないほど」(大久保市長)。

交通アクセスには課題アリ

「都心部立地の小規模なパークになる」「立川市が最有力候補になっている」などの観測報道が出るたび、「何度も『もう無理か……』と諦めかけたが、何とか地域振興につなげたいと思い、細い糸を手繰り寄せるように粘った」と大久保市長は打ち明ける。

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