円安でも意外に安価「ノルウェー鉄道旅」の醍醐味 物価高対策にはコツがある、ITには慣れる必要

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日本人には「大きな運賃差」なのだが、多くの人は早く来たほうに乗っているようだ。おそらく現地の人にとっての運賃は普通800円、特急1500円くらいの感覚なのであろう。「日本人は貧乏になった」と感じる場面であった。

人口の少ない国の鉄道維持のために合理化は徹底している。駅に改札がないため、ワンマン運転は行わず、車掌がドアの開閉や検札に忙しく動き回っているが、オスロ中央駅ですら駅員はほとんどいない。切符はスマホのアプリで購入、外国人観光客などは券売機で購入する。日本でいう県庁所在地レベルの駅ですら無人駅である。

長距離列車の運賃体系は日本とかなり異なり、額は時間帯や混雑度によって変動する。オスロ―ベルゲン間(489km)の料金は1096NOK(約1万5600円)であるが、券売機で明日、明後日とみていくと運賃欄に「Lowest price=最低運賃」とあり、979、859、659、夜行列車では548NOKと半額の列車もあった。日本でも航空運賃は変動するが、それに似ている。489kmは東京からだと京都の少し手前になるが、そこまでの料金が8000円弱なら、鉄道に関しては日本よりむしろ格安である。

67歳以上は鉄道運賃半額

シニア料金も充実、67歳以上は半額になる。割引運賃とシニア料金の併用はできないが、オスロ―ベルゲン間でいえば、どの列車も正規運賃1096NOKの半額548NOKとなる。シニア料金も券売機で購入でき、乗車時に年齢を確認できるものを携帯していればよい。さすが高福祉国家と感じた。

筆者も67歳以上だったなら「ユーレイルパス」を利用しなかったと思うほどシニア料金が充実していた。ノルウェーでは、「ユーレイルパス」は60歳以上がシニア料金、乗車券は67歳以上がシニア料金と、適用年齢に差があるので注意したい。

さらに、同じノルウェーでも鉄道と高速バスではシニア料金の適用年齢に差があり、高速バス乗車時、運転手に「何歳?」と尋ねられ「65」と答えると運賃が半額になった。

物価高のノルウェーであるが、高齢者が旅行しやすくできていることには好感が持てた。ただ、前述の観光鉄道にはシニア料金はなく、生活路線と観光路線を分けているようでもある。

都市交通は物価高を避けることが難しい。首都オスロの市内交通最低料金は90分有効40NOK(566円)である。そこで7日券385NOK(5467円)を購入、1日分は781円相当で、メトロ、トラム、バス、定期船が乗り放題、運賃のうち50NOKはカード代なので払い戻しできる。

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