エンジン?電気?「フォルクスワーゲン」の本音 単独インタビューで見たシェーファーCEOの愛

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シェーファーCEOは、世界各地のフォルクスワーゲンで働く社員からも、熱い期待を寄せられている人だと、以前から聞いていた。1970年生まれのシェーファーCEOは、ダイムラー・ベンツ(現・メルセデス・ベンツ)での勤務のあと、2012年にフォルクスワーゲン AGに入社。2022年から、フォルクスワーゲンブランドのCEOを務めている。

2023年には「フォルクスワーゲン・クラシックツアー」なる従業員参加のイベントを開催。自身は、黄色い車体にマットブラックのボンネットを組み合わせたスポーティな見かけの「タイプ1(オリジナルビートル)」で参加して、社員から喝采を浴びたという。

クラシックツアーに持ち込んだ自身のビートルとシェーファーCEO(写真:Volkswagen)
クラシックツアーに持ち込んだ自身のビートルとシェーファーCEO(写真:Volkswagen)

シェーファーCEOについて、もうひとつ、社員がおもしろがっていることがある。「Love Brand」とフォルクスワーゲンを再定義しよう、という発言だ。「クルマを作って売る立場としてヤル気をかきたてられる」と、社員は話しているそうだ。

「ゴルフの今後」はどうなるか?

少し話がそれるけれど、いま日本で興味深い動きがある。20代に「ゴルフ2」(1983−1992年)の中古が人気なのだ。理由を尋ねると「シンプルなスタイルとしっかりした作りが他にはないから」だとか。それに「なんだか愛着が感じられる」とも聞いた。

実は、まさにシェーファーCEOが頭の中に描いているのが、上記のようなブランドと消費者との“関係の再構築”のようだ。これは、フォルクスワーゲンの広報担当から聞いたから、事実なのだろう。

1980年代のハッチバックを牽引したゴルフ2(写真:Volkswagen)
1980年代のハッチバックを牽引したゴルフ2(写真:Volkswagen)

そんなことを背景に臨んだ、今回のオンラインインタビュー。私がシェーファーCEOに聞きたかったことのひとつは、前述した「ゴルフの今後」について。

フォルクスワーゲンでは、2024年に現在のゴルフ8の改良版、通称「ゴルフ8.5」を発表する予定だ。そしてその先にまったく新しい「ゴルフ9」がある。いっぽう、それと並行するように、ピュアEVの「ID.」シリーズのラインナップ拡充に力を入れている事実がある。

果たして今後、フォルクスワーゲンのラインナップの中心はゴルフでなくてSUVになるのだろうか。それとも、ピュアEVにとって代わられるのだろうか。

次ページBEVシフトは着実に進むが…
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