新型デミオで見えてきた、マツダのサバイバル戦略

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 牽引役は新型デミオだ。馬渡渉店長は「マツダにはHVがなく、販売店にとって我慢を強いられた。今回はHVではないが、30キロメートル/リットルのインパクトは大きい」と話す。

来店客には試乗を積極的に勧める。今回のデミオは新型エンジンを載せるが、デザインに大きな変更はない。その中でスカイアクティブを訴求するには試乗が必要、というわけだ。試乗では1回1回走行燃費を測定し、低燃費を実感してもらう。顧客からは燃費性能だけでなく、静粛性に対する評価も高いという。

販売数量の多いコンパクトカーはその分、競合が激しい。デミオでも値引き販売が横行していた。だが、スカイアクティブ搭載車では様子が違う。車両価格は140万円と、ホンダ「フィットHV」より約20万円安い。もともと“戦略価格”で設定しており「価格から入るお客様はいない。性能をしっかり説明すれば、皆さん納得される」(馬渡店長)。

これがマツダのもう一つの狙いだ。適正な価格を設定し、値引き販売を抑制する。「デミオによって、販売も大きく変える」(山内社長)。新たにスカイアクティブ搭載車を対象にした残価設定ローンも設定。同ローンでは、3年後に車両購入価格の約45%、5年後は約30%の残価を保証する。高いリセールバリューを維持して、ブランド構築につなげる。

今秋には新しいトランスミッションと組み合わせた新型「アクセラ」が登場する。同車はマツダの販売台数の約3分の1を占める主力車種。同車のモデルチェンジは通常なら13年ごろだが、それを待たずに、スカイアクティブ搭載車を投入する。

国内販売が中心となるデミオに対し、アクセラによって、スカイアクティブの海外展開が本格化する。現在米国市場では、韓国の現代自動車がシェアを伸ばす。低価格が一つの理由だが、燃費性能で見ても日系メーカーを凌駕している。新型アクセラは高速燃費性能を、現代の「エラントラ」と同水準に高めた。

そして来年にはシャシーやボディも含めて、“フルスカイアクティブ”を搭載したSUV(多目的スポーツ車)「CX−5」が販売される。排ガスの後処理なしで新しい欧州のNOx規制に対応したディーゼル車も登場する予定だ。

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