岸田首相、「1勝」と「全敗」で分かれる"天国と地獄" 政権の命運占う「4・28トリプル補選」は苦戦必至

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対照的に、谷川弥一元衆院議員=自民を離党=の裏金事件での辞職に伴う長崎3区補選は、前回衆院選の同区で谷川氏に破れた立憲現職・山田勝彦氏(44)=社民推薦=と、維新新人・井上翔一朗氏(40)=学習塾経営=による野党の一騎打ちとなった。

情勢調査でも、前回衆院選で谷川氏と大接戦を演じた山田氏が優位とされるが、ここも自民支持層の行方が焦点。特に、次期衆院選での野党第1党を狙う維新が自民票を取り込んで立憲に迫れるかどうかが注目の的だ。

岸田首相の島根入りに「逆効果」の不安も 

そうした状況下、岸田首相は日曜日の21日に自民総裁として島根入りし、街頭演説では竹下、青木両氏の名前を挙げて「先人たちの志、魂をつなげていくのかどうかが問われている選挙だ」と悲壮な面持ちで支持を訴えた。「何もしないで負けるのは最悪なので、何とか接戦に持ち込みたいとの思い」(側近)からとされるが、地元自民県連からは「岸田首相の応援は逆効果になりかねない」との不安の声も漏れてくる。

いずれにしても、今回の3補選の結果は、岸田首相の政権運営に大きな影響を及ぼすことは間違いない。大手メディアによる最新の世論調査でも、補選告示直前の岸田首相の「国賓訪米」の成果への一定の支持はあるものの、内閣・自民党支持率は微増もしくは横ばいで、政権発足以来の最低レベルから脱け出す気配はない。

それだけに、今回の島根補選が「自民完敗」となれば、岸田首相の求心力や指導力はさらに低下することは確実。その場合、「岸田首相が狙う会期末解散断行は極めて困難になる」(自民長老)とみられ、「秋の総裁選前の退陣表明も現実味が増す」(同)ことになりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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