「運」で未来が決まる理不尽な社会に怒っていい 「だってしょうがなくね?」のままでいいのか

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政治の世界では、目をおおいたくなるような、くだらない事件が次々と起きています。だから私たちは、行動しない、世の中に異議申し立てをしない、そんな自分のことをたなにあげ、ついつい政治家をさげすみ、ののしることで満足してしまいがちです。

でも、ひとにぎりであれ、心ある政治家はいます。政治家や他人の悪口を言っているだけでは何も変わらないことに気づいている人たちだって大勢います。

今こそ大切な一票を

政治を使いこなそうと思えば、将来のビジョンを示す政党を見きわめ、大切な一票を投じていかねばなりません。

そのためには、さまざまな政策の束を読みとき、比べ、選びとる、私たちの眼力が問われます。そんな力を身につけないかぎり、政治家の悪口など何の役にもたたないことを私たちは知っています。

これはしんどいことです。めんどくさいことです。

でも、私たちが公正さについて考え、理不尽さに怒り、それを表現するようになったとき、そのときが本当のスタートではないでしょうか。

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政治を好き勝手にあやつり、世の中をわが物のように扱ってきた人たちは、私たちをおそれ、私たちの幸せを本気で考えなければならなくなるはずですから。

政治に失望し、だまりこむのではなく、信じ、怒り、発言する。そのためには知らなくてはなりません。私たち一人ひとりにとっての理想の未来を思い描かねばなりません。

自分たちの生きる社会の理不尽さに気づき、答えをさがそうとあれこれ考え、語りあう。

そんなささやかな努力の先に、未来の幸せだけでなく、いまの目の前の幸せも大事にできる、おだやかな世界が待っているのではないでしょうか。

井手 英策 慶應義塾大学経済学部教授

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いで えいさく / Eisaku Ide

1972年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本銀行金融研究所、東北学院大学、横浜国立大学を経て、現在、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政社会学。総務省、全国知事会、全国市長会、日本医師会、連合総研等の各種委員のほか、小田原市生活保護行政のあり方検討会座長、朝日新聞論壇委員、毎日新聞時論フォーラム委員なども歴任。著書に『幸福の増税論 財政はだれのために』(岩波新書)、『いまこそ税と社会保障の話をしよう!』『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)ほか多数。2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶應義塾賞を受賞。

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