長谷川博己「アンチヒーロー」強力布陣で挑む勝算 VIVANTスタッフと、日曜劇場7年ぶり主演で話題

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法廷を出た後で明墨は、隠していた障がいを許可もなくさらしたことを尾形から非難される。

明墨は勝つために手段を選ばないとしながらも、尾形に対しては、障がいを理由に解雇された過去の職場の数々を訴えれば、1000万円は勝ち取れること、自身がその弁護を無償で引き受けることを伝えた。この展開を見ると、ただの冷酷なだけの男ではなさそうだ。

1月期ドラマで同じくTBS系の『不適切にもほどがある!』では、令和社会の過度なコンプライアンスや社会の不寛容をおもしろおかしく風刺したことで大きな話題になった。

本作は、同作と同様に「社会を切るドラマ」という共通点があり、そのシリアス版となることへの期待がある。

本作のアンチヒーローを謳う弁護士は、法は犯さない。しかし、無罪を訴える依頼人を信じ、検察と対峙する裁判に向き合う過程で、手段は選ばない。第1話で示されたのは、職業倫理を問われれば、アンチになるかもしれないというヒーローの姿だった。

アンチな弁護士が社会に立ち向かう本作には、差別やいじめ、ネットの誹謗中傷など現代の社会問題に切り込んでいく社会性が映し出されることも期待される。取り上げる事件の背景や容疑者の過去など、人間ドラマの側面としても描かれるだろう。

殺人事件を題材にした第1話は、正統派の法廷ドラマとあまり変わらない印象を受けたが、まだ始まったばかりだ。

第1話のラストで証人である尾形を退場させられた検察は、これまで見つからなかった凶器を証拠として出してきた。

一方、容疑者・緋山の素性や、そもそも真犯人であるのかなど、多くは謎に包まれたままだ。明墨のアンチの真価も、これから明らかになっていくのだろう。

ダークヒーロー描いた「ダークナイト」

ダークヒーローが主人公の名作といえば『ダークナイト』(2008年公開)を思い浮かべる映画ファンは多いだろう。

法で裁けない悪に対して“正義の悪”を執行するジョーカーは、あまりにも苛烈な手法で正義のあり方を問いかけ、観客を圧倒する大きなインパクトを残した。ジョーカーを演じたヒース・レジャーからは、圧倒的な狂気がにじみ出ていた。

そんなハリウッド大作と作品規模は異なるが、根底にある社会に対する正義と悪への疑問を投げかるメッセージは、『アンチヒーロー』とも共通している。明墨のイントロダクションの打ち出しからは、ジョーカーと通底する雰囲気を感じさせる。

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