未来を見据えた学校改革 いよいよ本気度が問われる
大幅な自由選択制の導入を進めているのは、一斉に学ぶカリキュラムから個が選択するカリキュラムへ転換するため。学校で学んだことは、自身で意義づけをすれば役に立つことはたくさんあると思いますが、ムダで邪魔なものも多い。ムダなことに費やす時間を減らして、社会とつながるための時間を増やす。
教務基準を変更して、留年の制度を実質なくしたのは、自らが社会とどうつながっていくのか、そのことを考える時間とゆとりを作るため。学校に行かないというのは逃げているわけではなく、生き方をゆっくり模索しているだけ。大人が待ってあげればいい。学校で学び直してもいいし、学校以外の素敵な場所が社会に見つかったら飛びこめばよい。
校則を実質ゼロにしたのは、社会で認められていることは学校でも認める。それは、学校運営の権限を生徒の主体に移譲することで、建設的な社会を構築する将来のスキルにつなげるため。
出所:本間氏のfacebookの投稿より
4年経った今、高校は第一志望の生徒が増え、一般入試の併願確約での募集を中止。中学の受験者数も増えています。そんな状況での突然のトップ交代は、少なからず波紋を呼んでいますが、「学校改革の方向は変わらない」と本間氏は強調します。これからは、これまで実行部隊として横浜創英の教育改革を支えてきた本間新校長と山本副校長のツートップ体制で、具体化していくフェーズに入るということでしょうか。

横浜創英中学・高等学校 副校長、日本パブリックリレーションズ学会理事長
都立中高一貫教育校を経て、2019年より複数の学校や団体・企業でも活動。「教えない授業」と呼ばれる自律型学習者を育てる教育を実践
(写真:山本氏提供)
ちなみに工藤氏は、今後も教育アドバイザーとして、リーダー養成講座など生徒への授業や生徒や保護者の相談、大学や専門機関との折衝、連携などに携わる予定とのこと。学校の方向性に変わりはないということでした。
2月に横浜創英中学校の新タイプ入試、コンピテンシー入試を取材した際、工藤氏から「ここでできたことは、全国の学校で横展開できる」と聞きました。2025年から始まる教育課程が、これからの日本の教育の方向性を示すフラッグシップになりうるのか、工藤氏のリーダーシップのもと学校改革を進めてきた横浜創英の、法人を含めた本気度が問われています。
未来を見据えて希望を託している生徒たちを裏切らない学校になっていってほしいと思います。
(注記のない写真:studio-sonic / PIXTA)
執筆:教育ジャーナリスト 中曽根陽子
東洋経済education × ICT編集部
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