「サウナに入っただけ」男性に生じたまさかの悲劇 気になる症状があったらすぐに病院に行こう

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

蜂窩織炎の原因菌の代表は、黄色ブドウ球菌だ。私たちの皮膚に棲み着く常在菌で、普段は悪さをしないが、何かのきっかけで増殖をすると、蜂窩織炎をはじめとした皮膚病を引き起こすことがある。

山田さんの場合、アトピー性皮膚炎の肌がサウナでさらに乾燥したことにより、菌が増殖しやすい環境にあった可能性があるという。

「山田さんが言うように、免疫力が低下していることも発症リスクになります」(菊池医師)

乳がんや子宮がんで手術を受けた人も蜂窩織炎になりやすいが、これは、手術によりリンパ液の流れが悪くなることが要因だ。

「リンパ液の流れが悪いと、細菌感染を起こしやすい。また、糖尿病で血糖コントロールの悪い人や肥満の人は免疫力の低下から、蜂窩織炎になりやすいことがわかっています」(菊池医師)

予防は「こまめにせっけんで手を洗う」

このため、普段から睡眠や食事、運動により、できるだけ免疫力を低下させないこと。また、肌を清潔に保ち、傷ができたら、しっかり消毒をすることなどが予防策となる。

「建設業や農業など、体を使い、外で働くためにケガをしたり、皮膚が汚れやすい職業の人は、こまめにせっけんで手を洗うこと。爪を短く切っておくことも予防策になります」(菊池医師)

この連載の一覧はこちら

早期発見も重要だ。治療しなければ広範囲に広がり、入院が必要になることもある。皮膚の痛みと熱があったら、迷わず、受診したほうがいい。

なお、蜂窩織炎と関連のある病気として、「劇症型溶血性レンサ球菌(溶連菌)感染症」がある。溶連菌は「人食いバクテリア」とも呼ばれ、感染しても多くの人は喉の痛み、発熱など風邪の症状にとどまるが、まれに劇症化し、手足から臓器に壊死が広がり、死に至ることがある。

2014年から患者数が増加し、現在、感染が拡大している。致死率30%と高く、救命のカギを握るのは、いかに早く治療ができるか、だ。命を守るための知識として、ぜひ知っておきたい。

本連載では、「『これくらいの症状ならば大丈夫』と思っていたら、実は大変だった」という病気の体験談を募集しています(プライバシーには配慮いたします)。具体的なお話をお持ちの方は、こちらのフォームにお送りください。
狩生 聖子 医療ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かりゅう きよこ / Kiyoko Karyu

1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。

この著者の記事一覧はこちら
菊池 大和 きくち総合診療クリニック

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きくちやまと / Yamato Kikuchi

2004年、福島県立医科大学医学部卒。浜松医科大学附属病院にて初期研修医。磐田市立総合病院外科、国立がんセンター東病院呼吸器外科、湘南東部総合病院外科科長・救急センター長、座間総合病院総合診療科などを経て2017年、土日も診療を行う総合診療クリニックであるきくち総合診療クリニックを開業。小児から高齢者まで、救急医療も行い、あらゆる症状を診る「総合診療クリニック」が全国に広がることを目指し、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事