賃貸更新料は「有効」、1年に2カ月分も容認

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仮に無効になっていれば、消費者契約法が施行された2001年までさかのぼって返還が求められることになっていた。貸金業者への過払い金返還請求の二の舞いになりかねなかっただけに、家主側にとって今回の判断は大きい。

導入が広がるおそれ

一方、判決に対して東京借地借家人組合連合会(東借連)は、「最高裁判決はあまりに庶民感覚から外れていないか」と怒りを隠さない。原告側も「更新料を設定する全国100万戸に対し、返還請求が行われる社会的影響をおそれたのでは」と意気消沈。

更新料の無効判断が下されれば、礼金やハウスクリーニングなどほかの費用項目での訴訟も検討していたが、それも厳しくなってしまった。

不透明さを問題視された更新料が“お墨付き”をもらったことで、原告側の長野浩三弁護士は「今後、更新料を導入する物件や地域が広がるおそれがある」と警鐘を鳴らす。

全国に民間賃貸住宅は1200万戸超あるが、空室率は2~3割と高水準が続く。日本賃貸住宅管理協会の京都府支部は「人気物件なら敷金・礼金・更新料を設けるし、そうでない物件はすでになくしている。市場原理が決めること」と主張。消費者のほうに選択の自由があるとしている。

対して東借連は「契約書に書かれていると言うが、目にするのは契約時で、他物件と比べることは難しい」と不安視する。学生や高齢者など、情報量や交渉力で不利な立場の人は多い。不動産業者と対等に渡り合えず、泣き寝入りケースも考えられる。

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