恩田陸作品史上「もっとも美しくヤバい天才」爆誕 萌え保証!一人の天才少年をめぐる「春」の物語

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構想・執筆10年。史上初の2016年直木賞&本屋大賞W受賞・累計発行部数150万部超のモンスター級ヒット作品『蜜蜂と遠雷』の恩田陸がたどり着いた最高到達点——と聞いて、期待しないほうが無理というものだ。かつて世界のピアノコンクールを舞台に、若き才能たちが音楽の神へ挑む姿を描き、2019年に松岡茉優、松坂桃李らの出演で映画化にも至った『蜜蜂……』の感動をよみがえらせた読者は、その手に取った青春群像劇の新作『spring』を今すぐ冒頭からめくってほしい。

8歳でバレエに出会い、15歳で海を渡った天才舞踊家の萬春(よろず・はる)が、才能あふれる人々との出会いを通して無二の振付家へと成長していくさまを4つの視点から描く、万華鏡のような、圧倒的にロマンティックで美しい世界が花ひらく。

子どもの頃から妄想が尽きたことはない

絢爛かつ耽美、まるで少女漫画のようでした……と、読了後のインタビュアーが胸いっぱいに嘆息すると、恩田はカラカラと笑った。「少女漫画的な耽美ですよね。やはり美しくなきゃ。子どもの頃から、妄想が尽きたことはないんです。小学校くらいから、漫画やお話などなんやかやと書いていたので」。

(撮影:今井康一)

少女漫画のみならず、少年漫画にも没頭する子どもだったという。萩尾望都に山岸凉子、一条ゆかりや美内すずえ、石ノ森章太郎そして手塚治虫……。「ドラマティックな、ザ・ストーリー漫画が好きで」(恩田)。恩田が得意とする美的な世界観、“ドラマが起きないわけがない”ワクワクする予感をはらむ舞台設定や抒情的なストーリーラインは、そこで培われたのかもしれない。

優れたエンタメストーリーテラーである恩田の作品が取材する世界は、驚くほど多岐にわたる。演劇、音楽、学園、英国貴族の館、民間伝承や特殊能力、都市伝説、テロやAI、そして無差別殺人などなど。さまざまな舞台設定やキャラクターを操ってストーリーを編み続ける、尽きぬ想像力の源はなんなのだろう。

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