「軍用地投資」やってみてわかったすごいメリット 節税効果大、収入確実など良いことずくめ!?

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③ 物件を見られないので不安

原則として米軍基地内には入れないので、物件を見ることはできません。今回、嘉手納基地のすぐ脇にある「道の駅かでな」の展望台から基地内を眺めましたが、嘉手納基地は広大です。「職員住宅が建っているあの当たりかなぁ」という程度で、正確な所在はわかりませんでした。

同行した妻は、所有権移転登記が完了するまで、「これって、もしかして詐欺に遭っているんじゃないの?」と不安がっていました。信用ある不動産会社を通せば問題ないとは思いますが、物件を見ずに投資しなければならないというのは、デメリットと言えるかもしれません。

軍用地投資は究極の相続税対策か?

こうしてみると、メリットが多く、明確なデメリットがあまりない軍用地投資。今後、さらに注目が高まると思われます。ただ、絶対にお勧めかというと、そうでもありません。

まず、軍用地投資は、最初は低利回りでその後じわじわと初期投資に対する利回りが上がっていく投資なので、短期間で大きく儲けたいという肉食系の投資家にはまったく不向きです。

国税による節税対策への包囲網がどんどん狭まる中、相続税対策をしたいという富裕層にとってはどうでしょうか。今後も政府が軍用地の地主に不利な制度改正をすることは考えにくく、軍用地投資は究極の相続税対策に見えます。

ただ、問題は良い出物が少なく、しかも小粒なことです。もともと軍用地の地主は約5000人と少数ですし、彼らにとって借地料は重要な収入なので、軍用地をあまり手放したがりません。

今回の与那嶺さんは、所有する広い軍用地を分筆して一部を売りに出しました。このように小間切れで少額の物件が売りに出されることが多く、富裕層の節税ニーズを満たす1億円以上の大型物件の出物はあまりありません。

短期間で一発逆転の節税をしようとするのではなく、日頃から沖縄の不動産情報を扱う「うちなーらいふ」などをチェックし、良い物件が出たらこまめに買っていくというのが得策でしょう。

軍用地投資
「うちなーらいふ」のホームページ
日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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