東大教授が教える「独学で学び直し」ポイント3つ 「知識吸収型の勉強」だけでは役に立たない

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とはいっても、ほとんどの社会人にとって、しっかりとした勉強を続けることは、時間的に難しい場合が多いのが現実です。ですから、そもそも時間がないことを前提にした③のポイントが重要になります。

以下では、これらのポイントをもう少し深掘りしていきましょう。①で挙げた、自分の経験や知見をふり返って整理することの重要性は、本書の他の箇所でも述べてきたとおりです。

若いときの勉強は、新しい知識をどんどん取り入れる作業が主体で、経験を基にして体系づけることがそもそも難しいです。それに対して、ある程度の時間を社会で過ごしてきた40代や50代、60代の人にとっては、自分の持っている経験や情報をいかに整理するかということが、勉強のひとつのポイントになります。

自分の経験を一般化・抽象化してみる

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けれども、多くの人がそういう作業をあまり勉強だと思っていないようです。これは、たとえて言うと、せっかく武器を持っていても、倉庫の中にぐちゃぐちゃに入っているようなものです。これでは、戦おうと思っても適当な武器がすぐに出てきません。けれども、きちんと棚に整理しておくと、それらは使える武器になります。

今までの経験もそれと同じです。これを少し整理しておくと、新しい仕事に直面したり転職に踏み切ったりするとき、今までの経験を活かすことができるようになります。

整理する方法としては、できるだけ自分の経験を「一般化・抽象化」してふり返ってみることによって、経験が頭の中に整理されて、立派な使える武器になります。

その際に、役立つのは、何かの学問と自分の経験とを関連づけることです。でも、今まで専門的な仕事をしてきた人を除けば、自分のやってきたことが、どんな学問と関連づけられるのかが、よくわからないかもしれません。 

そもそも何かの学術書を読むというのは、とてもハードルが高そうで、なかなか手が出せないという人も多いことでしょう。そこで、ポイント②の好奇心や目的意識を呼び起こすことが重要になってきます。

どれだけ立派な本を読もうと計画を立てても、それを実行するモチベーションがあがらなければ、忙しい中ではなかなか学びは進みません。このあたりが、受験勉強を前提とした子どもあるいは学生の勉強との大きな違いです。

ですから、できるだけ好奇心が持てるもの、自分の問題意識と合致していそうなテキストを探すことが重要になってきます。

柳川 範之 東京大学経済学部教授

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やながわ のりゆき / Noriyuki Yanagawa

1963年生まれ。東京大学経済学部教授。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。主な著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)など。

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