Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない

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オーストラリア政府の対応は決して極端な話でもない。

ニュースをはじめ多種多様なアプリやコンテンツを並べてユーザーをひきつけるプラットフォームビジネスの急激な普及で、各国の新聞やテレビなどの伝統メディアは広告収入を奪われてしまい、ニューヨーク・タイムズなどごく一部を除きほぼ例外なく厳しい経営状況に陥っている。

その結果、民主主義が定着している欧米諸国などではメディアの衰退は言論空間の衰退、さらには民主主義の崩壊につながりかねないという危機意識が強まっている。

先頭を切って法制度を作ったのがオーストラリアだったわけで、この動きが他の国を刺激した。

カナダは2023年7月にプラットフォーム企業とメディアの交渉、当局による仲裁手続きなどを定めた「オンライン・ニュース法」を定めた。EU(欧州連合)はじめ欧州、アメリカ、英国、ブラジルなどいくつかの国でも似たような動きが出ている。

複数の国家が巨大なプラットフォーム企業と対峙するという構造ができつつあるのである。

穏やかなGoogle、闘うMeta

こうした動きに対しGoogleはこれまでのところ、各国メディアとの協議を進め対価を支払うという比較的穏やかな対応をしている。それに対してMetaは冒頭に紹介したオーストラリアでの支払い拒否の公表だけでなく、各国と「闘う姿勢」を鮮明にしている。

カナダの法制化に対しては、報道機関への支払いに合意したGoogleとは異なり、Metaは今も支払いを拒否するとともに、カナダ国内でのニュース配信を停止している。

例年、カナダは夏に山火事が頻発し大問題となる。2023年夏も記録的な山火事が起きた。ところが同じタイミングでFacebookがニュース配信をやめたことで、被災地の住民は火災の拡大や救助活動についての最新情報を得る手段の一つを失った。皮肉にもFacebookの空白を埋めたのが多くのフェイクニュースだった。

当然、Metaに対する批判は強まり、地方自治体の中にはMetaへの広告を停止するところも出てきている。カナダ政府はMetaとの交渉を根気強く続けているが、トルドー首相は「Metaはジャーナリズムに対する対価を支払わないまま、何十億ドルもの利益を上げている」などと厳しく批判している。

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