老舗酒造メーカーが「ストロング系」に込めた思い コスパのよさが「心の拠り所」となる人もいる

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──ストロング系の市場が拡大したのはなぜでしょうか。

物価高が続き、節約志向が高まる中で、ストロング系は経済性豊かな商品という理由が非常に大きい。特にリーズナブルでコストパフォーマンスのよいものを飲む層に、ストロング系はよく飲まれている。

足元の需要はピークアウトし、年々縮小傾向にある。若年層のアルコール離れもあるし、これまで9%のチューハイを飲んでいた層が高齢化し、消費者が減ってきた。健康志向というよりも、9%まで必要なく7%でちょうどよいという理由からだろう。

われわれは今、アルコール度数5%以下の商品に注力している。若年層にも飲んでもらえるよう、度数の低いものを中心に商品開発してきた。9%は昔からのヘビーユーザーが飲んでおり、新規開拓する意図はここ数年なかった。PB商品も、PBオーナーが様子をうかがっている状況だと思う。

唯一の楽しみがお酒という人もいる

──オエノンHDとして、手の届きやすい価格のストロング系を販売してきた背景には、どんな思いがありますか。

仕事で大変な苦労をしても給料が安く、唯一の楽しみがお酒という方々がいる。高いお酒にはなかなか手を出せない中で、度数が高く手頃感のあるチューハイを心の拠り所にされる人もいたのだと私自身は思う。ささやかな楽しみを奪うのはいかがなものか。

その一方で、厚労省のガイドラインがあるなら、それは企業として対応するスタンスをとらざるをえないということだ。

──ストロング系を1日の終わりに1本飲むだけで、救われる人もいると。

いっぱいいる。そういう世界を全否定してしまうことが、私は悲しいというか。そういった方々の味方でいたいという気持ちはすごく強い。

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