「マルハラ」を認めると組織が破綻する3つの理由 若い世代に合わせるべきタイミングの見極め方

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……ところがである。昨今、職場におけるテキストコミュニケーションにおいて、とある言葉が注目を集めている。それが「マルハラ(マルハラスメント)」である。「マルハラ」とは、LINE等のチャットで、句点「。」を語尾につけると威圧感を与えてしまうことを意味する。

私は「マルハラ」を認めると、モラルハザードを引き起こすリスクがある、と考えている。その理由は3つある。

(1)常識的な視点
(2)ルール的な視点
(3)現実的な視点

一つずつ解説していこう。

そもそも「ハラスメント」とは言えない

この記事を読んでいる読者の皆さんは、「マルハラ」についてどのようにお考えだろうか?

正直なところ、私はこのような主張が出てくること自体に危機感を覚える。パワハラやセクハラは、とても深刻なハラスメントである。多くの人がこのようなハラスメントで悩み、傷つき、好きな職場を後にせざるをえなかった人が過去に数えきれないほど存在する。

にもかかわらず「語尾に句点をつける」ことまで「ハラスメント」と表現していたら、「ハラスメント」の表現が醸しだす深刻度が薄くなってしまわないか。

これが1つ目の「常識的な視点」だ。

続いて2つ目の「ルール的な視点」である。そもそも「マルハラ」がハラスメントとして認定されるかどうか、である。

厚生労働省が公開しているパワーハラスメントの6類型は以下の通りだ。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること・仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
次ページ全体に適応するほどの少数派の意見かどうか
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