小田急の「新拠点」海老名駅の知られざる裏側 本社が一部移転してきたビルには「乗務所」も

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小田急にとって海老名は、電車をメンテナンスする検車区とたくさんの車庫線、保線の基地、運転士と車掌が所属する乗務所があり、運行上の拠点でもある。

小田急の乗務所は喜多見、海老名、大野、足柄の4カ所にある。以前はそれぞれ電車区・車掌区に分かれていたが、海老名は2022年6月、そのほかは2023年9月に乗務所に統合した。

海老名乗務所は小田急が海老名本社を置くビナガーデンズオフィスに入っている。休憩や食事、ミーティングのためのスペース、個室が並ぶ宿泊設備もこの建物の中にある。約120人ずついる運転士・車掌を含め、計285人が所属する。

海老名乗務所 所長・副所長
海老名乗務所の渋谷信雄所長(左)と住吉雄一副所長(記者撮影)

渋谷信雄所長は1984年の入社。1986年に海老名で車掌になって以降、運転士・電車区長として同地での長い勤務経験がある。「田園風景ばかりを見ていたので、いまのタワーマンションや商業施設ができるとは思いもよらなかった。新宿から本社の一部機能もやってきて小田急の拠点になっている」と話す。

1989年入社の住吉雄一副所長は、大野電車区での勤務が長い。「ほかのエリアの運転士として海老名は配線が複雑なので少し緊張した」という。「何もなかった場所に建物ができてくるのを目の当たりにして変化を肌で感じた。大野には申し訳ないけど、伸び率としてはやっぱり海老名なのかな」と語る。

海老名市と連携強める

海老名には2024年に入ってからも動きがある。2月22日には小田急電鉄と海老名市が包括連携協定を締結した。

連携目的を「防災や保健福祉、教育等の市民サービスの一層の向上と地域産業や文化等の活性化をはじめとする連携項目を通じ、積極的な地域連携を図ることにより、『住みたい 住み続けたいまち 海老名』を実現するため」としている。内容は子育て支援から、ロマンスカーミュージアムでの学習体験、「認知症等行方不明者の情報共有」まで多岐にわたる。

現在、駅東口から飛鳥通りを東へ進んだ先では奈良時代の相模国分寺跡・相模国分尼寺跡が公園として整備されている。海老名は古くから人を寄せ付ける力があったと言える。今後、“住み続けたいまち”の玄関口としての駅の役割も増していくことになりそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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