上海株、「年初来60%上昇」のカラクリ "クジラ"が相場を支えている?

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当局によるこうした一連の対応は、株式市場で「“レジームチェンジ”と受け止められている」(SMBC日興証券の肖敏捷シニアストラテジスト)。「投資家がレジームチェンジを先取りしている」という見立てだ。

最近の市場テーマとなっている「国有企業改革」も、レジームチェンジの流れと位置づけられる。大きな変化への期待を背景に買い物が膨らむ構図は、まさに日本のアベノミクス相場を彷彿させる。

株高でユーフォリア(陶酔感)に浸る個人投資家も増えてきた。中国における個人比率は高く、UBSのリポートによれば、「国内上場株の約80%を保有している」。同リポートは「信用取引融資が2014年の1年間で5倍に増え、毎週100万人を超える投資家が新たに株式取引を始めているらしい」とも指摘する。

日本と同様、官製相場の側面も

買い主体は個人だけではなさそうだ。金融当局は政策遂行に際して、株価を強く意識している感が強い。日本株市場では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など「5頭のクジラ」が“官製相場”の主役とみられているが、「中国にもクジラはいっぱいいる」(肖氏)。

となれば、信用取引の規制発動などに伴うスピード調整はあっても、大きく崩れるシナリオは描きがたい。上海総合指数の史上最高値は、2007年10月に記録した6092ポイント。「大天井」が今や視野に入りつつある。「山高ければ谷深し」という格言など、投資家の耳には届きそうにない。

「週刊東洋経済」2015年6月20日号<15日発売>「核心リポート05」を転載)

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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