未婚男女が「結婚相手に求める条件」ランキング 大規模調査で判明したジェンダーレスな価値観

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「経済力」の回答について確証バイアス的な見方をする(結論ありきでデータを解釈する)人が一定数いるため、注意喚起しておきたいと思います。女性は9割、男性は5割が条件に挙げています。この差をもって「やはり女性はお金か」というのは少々乱暴な読み方です。

日本はOECD加盟38カ国中、ワースト4の男女の賃金格差の国で(ワースト1位は韓国)、男女間に2割以上の賃金格差があります。そもそも男性より女性が稼げない特性を明確にもつ社会において、女性が男性より相手に「経済力」を求めない方が不自然(よほどの豪傑)ともいえるでしょう。

一方、そんな中で、男性の2人に1人が女性に経済力を求めるようになったことは「雇用におけるジェンダー格差の実態」と「イマドキの若者が結婚後の2人像として持つジェンダーレスな家族価値観」がかみ合っていない、ともいえます。雇用問題が未婚化に影を落としかねないことを伝えるデータでもあり、もっと未婚化において雇用問題が問題視されてよいのではないかと思います。

相手の立場に立って思いやれるかどうかが肝

以上から、結婚希望を叶えやすい男女像がある程度浮き彫りになりました。自分本位で結婚を考えず、お互いの仕事について協力姿勢があり、仕事も家事も責任を分かち合える「共働き、共家事、共育児」ライフデザインな男女であれば、結婚希望を叶えるまでの道のりは随分と短縮されそうです。

「そういうライフデザインのつもりなんだけどなあ」という方にはもう一つ、「容姿」が男女ともに81.2%で完全一致していることに注目してみてほしいと思います。この割合は古い調査ほど女性側で低く、男性は女性より見た目を気にしなくてもいい、という時代がかつてはありました。しかし今ではそうではありません。男女関係なく、身だしなみには気を付けなければなりません。

ここで「自然体がいいのに!」という結婚希望者にお聞きしたいことがあります。

「あなたは相手の見た目がいいほうが乗り気になりませんか?」

お互いさま、という気持ちをもてるようになることは「2人で幸せになる」ためには大事な要素だと思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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