月額980円"推し活"感覚でできる「保護猫活動」 社会問題と捉え、ITを使って課題を解決する

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neco-noteの場合は、保護猫団体から送られたデータをチェキに加工。希望者全員にそれぞれの推し猫のデータを送るほか、月に1度抽選で、プリントアウトをプレゼントしている。

保護猫にまつわる事業を行う、ネコリパブリック。猫カフェの猫や、シェルターで保護されている猫の一部をneco-noteに登録している(撮影:風間仁一郎)

楽しんでもらうことが大前提

neco-noteの利点は、気軽に保護猫活動に参加できること。

猫が好きで、処分されている現状に心を痛めていても、実際にボランティアをするのはなかなか難しい。時間やお金がかかるほか、やり抜く責任も生じる。動物の命にかかわることなので、それこそ気軽にはできないのだ。

neco-noteではそうした人が、自分にできる範囲で活動を支援できる。

また会員はバディとして、推し猫との間に絆を感じられる。保護猫団体への寄付と違うのはそこだ。

neco-noteでは推し猫が無事家族を見つけ、保護猫のシェルターから巣立っていくことを「卒業」と呼んでいる。推し猫が卒業すると、バディはまた別の推し猫を応援することができる。もちろん退会もできるが、それはほぼないようで、黛氏によると離脱率は0.01%とのことだ。

「カジュアルに楽しんでもらうことが大前提。『かわいそうだから』ではなくて、『かわいいから』『見ていて楽しいから』という、よりポジティブな感覚に根ざした純粋な気持ちで利用してもらえるように設計している。そのためもあり、保護猫団体の登録は審査制としており、お断りすることも結構多い。例えば他の団体を攻撃するような団体はNGとさせていただいている」(黛氏)

保護猫活動は命そのものをテーマとするだけに、正解がなく、みな、理想を求め模索しながら活動している。例えば保護猫をどう扱うかや、ペットショップの是非について、考え方はいろいろある。そして真剣だからこそ、意見の違いで対立が起こることもある。

「考え方やカラーの違う団体が一つになる必要はない。個々に存続していけるよう、お金や人が回る仕組みをつくるのが自分の役割だと思っている。というのも、渦中の人である、活動団体はなかなか問題を意識しにくいからだ。ビジネスとして客観的に分析し、支援する存在が必要だと思った」(黛氏)

黛氏は家に猫のいる環境で育ち、猫が大好き。保護猫活動を変えていきたいという思いがあり、広告会社やまちづくり企業への勤務を経て、2021年に独立。保護猫活動には2017年から取り組んでおり、保護団体でボランティアとして活動するほか、ドイツへの視察や50以上の保護猫団体へのインタビューを行うなど、保護猫活動への理解も深めてきた。

保護猫活動の持続可能性を高めることが、黛氏のライフワークということだろう。では、同社の企業としての持続可能性はどうなっているのだろうか。

neco-noteの事業に関しては、会費の35%が手数料として入る仕組みだそう。しかし2024年の2月22日、サービス開始2周年を機に、4%に引き下げた。保護猫活動に関するクラウドファンディング等での資金集めよりも低い価格を狙い、4%という設定にしたそうだ。従来の料金でもトントンという程度なので、会員数の増加が課題だ。440万人と高い目標を掲げる。

人口の3.5%が、社会変容に必要な数値とされているためだ。

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