「不適切にもほどがある!」世代で生じる"温度差" 昭和世代からは共感も、Z世代にはファンタジー
後半はミュージカル調も交えながら、市郎が第1話のタイトルどおり、令和社会に物申す。過剰にコンプライアンスが唱えられる向きもあるビジネスシーンを題材に、令和と昭和の価値観をぶつけあう。歌って踊りながらのシーンで決して重くはせず、エンターテインメントに昇華させていた。
第2話「一人で抱えちゃダメですか?」も1話と同じフォーマットだ。前半は、スマートフォンやブルートゥースイヤホン、サブスクとVHSなどテクノロジーギャップの小ネタや、昭和の不良ケンカネタなど、コミカルなシーンがもりだくさん。
後半は、令和の“働き方改革”に対して、またしても市郎がミュージカル調で異を唱える。
2話でキーになるのが、テレビ局に務めるシングルマザーの犬島渚(仲里依紗)だ。渚は仕方なく仕事も育児も1人で抱えて働く。
「僕にできることがあったら言って」と渚に言う上司を、市郎は「気持ち悪い」と一蹴し、渚に「あんたがいましてほしいことが、俺ができることなんだ」と応え、働き方改革に対しては「馬車馬とがむしゃら以外に働き方なんてあるのかい?」と昭和節全開だ。
渚の会社に出向いた市郎は、時短勤務など“働きやすい職場を整える”建前のもとに同調圧力が働き、自分で働き方を決められない令和の矛盾に一石を投じた。コンプラに染まりきった令和の正論を、昭和の極論でねじ伏せたのだ。
すると、その姿が渚の会社の上層部の目に止まり、市郎の熱き暴論が買われ、カウンセラーとして令和のテレビ局で働くことになった。ここまでが2話までの内容だ。
令和と昭和の社会を相対的に風刺
令和と昭和それぞれの社会を相対的に風刺する本作だが、気になる点も見えてきた。
1つは、前半部分でてんこ盛りの昭和ネタだ。クドカン節の昭和あるあるネタがハマる昭和世代から大絶賛を受ける一方、平成生まれの30歳前後やZ世代にはピンときていない人も少なからずいる。
平成世代は、小ネタがわからないまま、昭和のわけのわからなさや、阿部サダヲや仲里依紗、吉田羊、磯村勇斗らの会話劇によるおもしろさがウケている。Z世代に至っては、劇中で描かれる昭和はファンタジー。リアルだと思っていない人さえいるようだ。
「めちゃくちゃおもしろい、傑作」だと言う昭和世代とは温度感が異なり、おもしろいけどそこまでハマっているわけではないという世代間ギャップが生じている。
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