バーガーキング「増やそう」施策が秀逸すぎる理由 街のスキマを見つけるトレンドにマッチしている

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しかし、近年ではこうした出店のトレンドに変化が生じている。それが「居抜き」出店だ。近年の店舗開発のトレンドの一つはこの「居抜き」にある。業種は異なるが、そのような「居抜き」トレンドに乗じて店舗を増やしているのがコンビニジムとして知られる「チョコザップ」だ。最近、街を歩いていると「チョコザップ」の数が増えてきたことに気が付かないだろうか。

安さを売りに出店を増やしているチョコザップ。写真は2022年9月撮影(編集部撮影)

チョコザップは、昨年9月に国内1000店舗を突破。その躍進力の一つが、居抜き出店だ。既存の空きテナントを巧妙に探し出し、そこをチョコザップに変えてしまう。

居抜きならば開業費用も抑えられるし、チョコザップの場合は、空間にトレーニングマシンを置くだけだから、大きな工事も必要ない。

「居抜き」トレンドで「街のスキマ」を顧客に探させる

また、それ以前に「居抜き」を巧みに使って大きな利益を作り出したのが、ディスカウント・ストアの「ドン・キホーテ」だ。

日本全国のドンキの来歴を見ていくと、元々はスーパーだったり、アミューズメント施設だったりと、ありとあらゆる施設を居抜いている。そのためにドンキは全国に店を増やすことができ、それが同社の34期連続増収に貢献している。

ドン・キホーテ
北海道・苫小牧にある「MEGAドン・キホーテ」。元々は「ファンタジードーム」というテーマパークだった(筆者撮影)

日本のありとあらゆるところに建物があり、店がひしめく今、新しい建物を作り直すよりも、既存の店舗を居抜いた方がコストパフォーマンス的にも優れているし、手間もかからない。バーガーキングも、近年閉店したマクドナルドの店舗を居抜く形で新店舗を作っているので、この「居抜き」トレンドに乗じてきた企業だといえるだろう。

「居抜き」店舗を作るときに大きな障壁となるのは、全国の「居抜き」募集物件を効率よく見つけることだ。いわば、街にある「スキマ」を見つける作業に他ならないが、こうした空き物件を全国で探すのならば、企業の人間よりも、その街に住んでいる住民の方が適任だろう。というよりも、普段見ている「街のスキマ」を紹介してもらうだけでいい。

今回のキャンペーンの前提となっているのは、こうした「居抜き」のトレンドであり、そして①の要因と絡めるならば、そうした「居抜き」のトレンドとSNS的な投稿のノリを組み合わせたのが、このキャンペーンなのである。

③ ここ10年来の「街歩き」ブームに乗ったこと

もう一つ、今回のキャンペーンを可能にしたトレンドがある。

「街歩き」ブームだ。

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