バーガーキング「増やそう」施策が秀逸すぎる理由 街のスキマを見つけるトレンドにマッチしている

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では、この企画の何がすごいのか。読み解くポイントは以下の3つである。

① SNS的なインタラクティブ性を活かした企画であること

② 昨今の「居抜き」立地戦略に上手く乗っていること

③ ここ10年来の「街歩き」ブームに乗ったこと

SNS的なインタラクションの高めかた

① SNS的なインタラクティブ性を活かした企画であること

まず、「① SNS的なインタラクティブ性を活かした企画であること」だが、同社はSNSを巧みに使い、顧客がバーガーキングの経営に参加しているかのような感覚を生み出し続けてきた。

例えば、2019年にTwitter上で起こった一連の出来事がそれを顕著に表している。とあるTwitterユーザーが「バーガーキング下北沢店を作ってほしい」というポストをしたところ、半年後、バーガーキング公式アカウントが反応。実際に下北沢店を作っていることを返信しただけでなく、工事中の店舗の壁面に、そのユーザーとの投稿のやりとりを大きく印刷して貼り付けたのだ。

公式SNSが、一般ユーザーと交流することは今ではめずらしくないが、投稿を印刷して貼り付けるまでのことはない。一見、冗談とも思えるやりとりであるが、こうした交流が、SNS上で大きな反響を呼んだ。

また、バーガーキング秋葉原昭和通り店では、近くにあったマクドナルドが閉店する際、「22年間、たくさんのハッピーをありがとう」という掲示を張り出し、同業者であるマクドナルドに対する熱いメッセージを送った……かに思えたが、実はそのメッセージを縦読みすると「私たちの勝チ」と読めるという、攻めたPRを行った。

同社は取材に対して、そのメッセージをどのように受け取るかはお客様次第、とし、本社がメッセージをあえて発信しないことで、顧客が自発的にその広告と関わりを持つきっかけを作った。

同社のSNSを通じた宣伝・PR戦略は、顧客と本社のつながりを強化するものであり、飲食業界の中でも際立っている。

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