「つまらない男」ゴシップ紙記者が嘆く賴清徳の素顔 4つのエピソードから台湾次期総統に迫る
同僚議員も舌を巻く10万件の訴えに対応
賴清徳が人々の心をつかんだのは偶然ではない。「人に対し誠実で、有権者の声にしっかり耳を傾け、人々の苦労を自分の事のように捉えてくれました」。これは台湾の地方の有権者が彼に下した評価である。
賴清徳の地元台湾南部・台南の名ラジオパーソナリティの「志明」こと康銀壽は、彼がまだ立法委員(国会議員に相当)の頃に知り合い友人となった。
当時、志明は10以上のラジオ会社を経営しており、多くのリスナーを抱えていた。「賴医師(賴清徳は医者出身)は当時、人見知りがひどく、話もたどたどしかったのを覚えています。台湾の地元言語である台湾語についてもことわざなどをうまく言えず、そんな彼に毎週土曜日に私の番組に来るように勧めたのでした」と、語る。
それからというもの、賴清徳は毎週月曜日から金曜日は台北の立法院に行き、土曜日は決まって志明の生番組に出演。志明と一緒にリスナーからの質問を受けていた。この間、実に10年。途絶えることはなかったという。
立法委員も4期目に入った頃、「南門路21号」にある賴清徳の地方事務所は、いつしか社会的弱者の拠りどころになっていた。
自分で直接事務所に訴えに来た人、あるいは志明の番組から「転院」するかのようにやって来た人など、毎週水曜日は自らカウンターに陣取り、医者の診療の如く人々の訴えと解決策を聞き取っていた。立法委員在任中に受けた訴えは10万件超。あまりの多さに他の委員から信じられないと舌を巻かれるほどだ。
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