東京海上社長、「M&Aで本当にいい候補は希少」 今後も中南米を含め世界中でM&Aを検討

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 6月8日、東京海上ホールディングスの永野毅社長(写真)は、同社のM&Aについて、「本当にいい案件は少なくなってきている」と話し、海外買収の難しさをにじませた。4日撮影(2015年 ロイター/TORU HANAI)

[東京 8日 ロイター] - 東京海上ホールディングス<8766.T>の永野毅社長は、同社のM&A(合併買収)について、「本当にいい(M&A)案件は少なくなってきている」と話し、海外買収の難しさをにじませた。魅力的な対象であれば高額でも前向きに検討するものの、中途半端な案件には消極的で、むしろ提携や既存のビジネスモデルを補完するボルトオン型のM&Aの必要性も強調した。

ロイターとのインタビューで述べた。

東京海上は2008年に英保険のキルンと米損害保険グループのフィラデルフィア・コンソリデイティッド、2012年には米保険グループのデルファイ・ファイナンシャル・グループを買収し、欧米で大型のM&Aを実施した。

アジアでは、タイの合弁事業のほか、04年の台湾の損保買収、07年のシンガポール/マレーシアの損保買収などがあったが、近年は欧米での大型M&Aが目立つ。

永野社長は「本当にいい(M&A)案件は少なくなってきているようだ。特にアジアでは日系の会社による高値買収が定着し、(売り手)オーナーが安い値段で日本の会社に対して売らなくなってきている」と話した。

東京海上は「やり方を慎重に考え、自前で作るか提携か、あるいは銀行などチャネル(販路)と提携するなどのコンビネーションで考える」という。大型のM&Aだけではなく、「(既存のビジネスモデルを補完する)ボルトオンのM&Aもあわせてやる必要がある」と述べた。

同社は常時20─30社の買収候補をリストアップし、定期的に開く会議でM&Aを協議している。今後も中南米を含め世界中でM&Aを検討する。

そのうえで、永野社長は「そこそこのものをリーズナブルな値段で買うよりも、やはりいい案件に本当に巡り合えるかが重要。(対象があれば)本当にお金を出してでも買っていくべきではないかと思う」と述べた。

一方、削減の傾向にある政策保有目的の株式について、永野社長は「着実にリスクを減らして行く」と述べた。

5月に発表した経営計画でも年間1000億円は保有金額を減らす方針を示し、資本効率の向上を進める方針を示している。

ただ、株主資本利益率(ROE)へのインセンティブが高まりすぎることに警戒感も示した。2017年度を最終年とする中期計画ではROE9%(修正ベース)と、15年3月期(9.3%)とほぼ同水準を維持する方針。永野社長は「ROEという指標に振り回されてはいけない。(ROEは)あくまでも結果だ」と述べ、最近の高ROEへの意識の高まりで数字作りに走る経営とは距離を置く姿勢をみせた。

*インタビューは4日に行われました。

 

(浦中大我、江本恵美)

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