グーグルとアマゾン、「DNA解析」を巡って熱戦 クラウドの最先端で起きていること
クラウド企業は、データの蓄積にとどまらず、科学者たちがDNAデータを解明できるような分析機能を提供している。MicrosoftやIBMも市場の一角をめぐって競争に参加している。
「クラウド」とは、物理的にサーバーに帰属し、インターネットを通じてアクセス可能なデータやソフトウェアを意味し、クラウドによってユーザーは自分のコンピュータにダウンロードすることなくデータやソフトウェアにアクセスできる。
投資銀行であるFBRキャピタルのリサーチアナリスト、ダニエル・アイヴス氏によれば、現在世界において1億ドルから3億ドルと推計されるクラウド ゲノミクスの市場は、2018年までに10億ドル規模に成長が予想されるという。2018年までに、クラウド市場全体では、年間収入が現在よりも約300億ドル増加し、500億ドル~750億ドルに達するはずだ。
クラウドはゲノムの未来そのもの
「クラウドは、この分野の未来そのものだ」。1990年代に民間でヒトゲノム配列の取り組みを率いたクレイグ・ヴェンター氏はインタビューでこう語った。サンディエゴに拠点を置く彼の会社、ヒューマン・ロンゲヴィティ社は、メリーランド州ロックビルにあるJ. クレイグ・ヴェンター・インスティチュートにおいて、サーバーから遺伝子データをインポートする試みを最近行ったという。
過去、遺伝子データの送信は非常に時間がかかるため、科学者たちはFedExやメッセンジャーに物理的なディスクやドライブの配達してもらったり、「スニーカーネット」を用いたりする必要があったとヴェンター氏は言う。しかし、ヒューマン・ロンゲヴィティ社は現在、Amazon Web Servicesを使用している。
レジェネロンファーマスーティカルと、ペンシルバニア州に拠点を置くゲイジンガーヘルスシステムズが共同で行った、25万個のゲノムを配列するという研究でもクラウドが活用された。DNAの生データはAmazonのクラウドにアップロードされるが、クラウドでは、非公開企業のDNAnexusのソフトウェアが膨大な数のチャンクを30億文字の長さのゲノムに集約する。
そして、創薬ターゲットを明らかにすべく、DNAnexusのアルゴリズムにより、個別のゲノムがヒトリファレンスゲノムと異なる箇所が特定されるのだと、同社の主任研究員デヴィッド・シェイウィッツ博士は言う。