全国に2%程しかない「男子校」の知られざる現実 少女漫画の中の男子校はリアル?<後編>
辛酸:ボーイズラブが繰り広げられているんじゃないかという妄想も。
おおた:あるいは、いまだに男尊女卑の思想をたたき込んでいるんじゃないか、みたいな。……んなことあるわけないでしょ、という。「かしこい男は恋しかしない(以下、かし恋)」では、ちょっとデフォルメされてはいますが、だからこそ真実の男子校生に近いメンタリティーが男子校という秘密の花園に足を踏み入れたことのないひとにも伝わるんじゃないかと思います。
辛酸:2%だと聞くと急にプレミア感が出ますし、クイズ番組が人気なのを見ても、やっぱり高学歴萌えみたいなひとは一定数いると思うんですよ。そういうひとに、この漫画はすごく刺さるんじゃないかと思います。
私も「高校生クイズ」とかすごく好きなんですよ。一時期、純粋なクイズ番組ではなくなってバラエティー番組化して、共学の学校が楽しそうにやっていたんですけど、最近ガチな路線に回帰して、再びクイズに青春をかけている男子校生たちが活躍するようになりました。
おおた:それで久しぶりに開成が優勝したんですよね。
辛酸:このまえ、息子さんがクイズ研究会だというお母さんから聞いたんですけど、髪を染めてテレビに出て活躍した男子がやっぱり結構モテたそうで。でも、運動会で負けて坊主頭にすることになって、髪型補正がなくなったって。
凹沢:あぁ! 絶対坊主になりたくないから頑張るみたいなストーリーもありですね。登場人物が坊主になっちゃったら少女漫画としてはもう終わりですけど。
辛酸:このまえ中国のドラマを見てたら、みんな弁髪で出てきて見分けがつかなくて厳しかったです……。
男子校に超進学校が多い理由とは?
凹沢:男子校出身者って、病院とかにあるすごくきれいなアクアリウムの中の熱帯魚みたいな存在なんだと思うんです。親がお金をかけて、手をかけて、大事にしている。
おおた:観賞魚!?
凹沢:一部の大企業とか、社会の上流階級にいるひとたちなんだろうなと。そういうところでしか出会えないっていうか。
おおた:でもそれは、いろんな歴史的な理由から、いまは学力上位層が男子校を選択することが多くなっているだけで、たとえば日比谷高校や渋谷教育学園幕張みたいな共学の超進学校がもっと増えていったら、いわゆるエリート層はそういうところを選ぶようになるはずで、風景は変わると思います。そうなれば、男子校はもっとのんびりした空間になるはずです。
凹沢:そういうことですか。