71歳で吉本芸人になった「おばあちゃん」の5年後 路上でチケットさばいていたら周りが大慌て
入学前に、入学金を振り込みに銀行に行ったんです。金額が大きかったので「何をされるんですか?」と窓口で聞かれて、「学校の入学金です」「お孫さんの?」「いえ、私です」「どんな学校に行かれるんですか?「お笑いの学校です」って。
そしたら窓口の方の顔が「えっ」となって、上司のところに行って、私のほうをチラチラ見ながら何やら話している(笑)。幸い、合格証明書を持っていたのでそれを見せたらようやく納得してくれました。
――いや、その銀行員さん、真っ当な対応だと思いますよ(笑)。疑われるのは無理もないかと……。
あとは、入学の際に医師の健康証明書が必要なので、病院に取りに行ったんです。先生に「どこに出すんですか?」と聞かれたので「吉本です」と答えたらびっくりされて「大丈夫? 認知症になったんじゃないの?」って(笑)。「なんて書けばいいんですか?」「ぜんぶ健康だって書けばいいと思いますよ」って先生に指示しちゃった(笑)。
孫のような芸人たちと切磋琢磨
――いろいろあって、71歳でNSCに入学。実際に授業を受けてみていかがでしたか?
とにかく大変でしたね。みんなプロの芸人を目指していますから、授業も半端ではありません。発声の授業では腹筋を100回したり、「ちがーう!」と講師の大声が飛んだり。
――まさか、腹筋も若い生徒さんに交じって?
いえ、私は「マグロみたいに寝ていていいよ」って講師に言われて免除されました(笑)。でも、ダンスの授業はなんとかついていこうと必死でしたね。
――それでNSCを無事卒業され、翌年から芸人デビュー。先ほどおっしゃった渋谷の劇場に定期的に出演するのですね。
毎月新ネタを書いては、舞台で披露して、若手芸人の面倒を見てくれる作家さんにアドバイスをもらう、の繰り返しでした。
でも、せっかく徹夜してネタを作ったのに、舞台に上がるとセリフがポーンと飛んじゃう(笑)。それで、作家さんから「短冊に川柳を書いて持っていれば忘れないんじゃない?」とアドバイスをいただいて、今のシルバー川柳のネタができました。
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