優れたテレビ・ラジオ番組、栄冠に輝いたのは? 「ギャラクシー賞」大賞受賞作を一挙紹介!
YBCラジオスペシャル
「花は咲けども~ある農村フォークグループの40年〜」
山形放送(2014年5月31日放送)
「影法師」という山形県長井市の“おやじ4人組”アマチュアフォークグループは、昨年で結成40年を迎えました。彼ら自身も農業を営み、農家の視点で社会を風刺する歌を紡ぎ出してきました。「原発みたいな危ないものは全て東北に押し付けて浮かれて暮らすのは東京の人だけ」という歌もありました。
一昨年発表した「花は咲けども」は、震災復興支援ソング「花は咲く」に対するアンチテーゼの歌でした。福島の避難区域に桜は咲いたが愛でる人の姿はない光景を「花は咲けども、春を喜ぶ人はなし、毒を吐き出す土の上、うらめし、くやしと、花は散る」と歌詞に込め、「花は咲けども」を歌いながら事故を風化させてはならないと訴えます。
番組では、震災後の苦悩を見事に描き、東北と中央の理不尽な関係を浮き彫りにし、「花は咲けども」に込めた思いを伝えています。中央の人たちは、東日本大震災と福島第一原発事故をどう受け止めたのか、番組は鋭く突きつけてきます。五穀豊穣の願いを再確認させられ、真の地方創生とは何かを考えさせられる作品。歌の力と言葉の力をエネルギーとした、ラジオの持つ本来のパワーを充分に発揮した問題提起ドキュメンタリーです。
プロデューサー:伊藤清隆、ディレクター:伊藤和幸 ナレーター:松下香織 出演:遠藤孝太郎、青木文雄、横澤芳一、船山正哲CM部門で大賞を受賞したのは?
■CM部門■大賞 東海テレビ放送 公共キャンペーン・スポット「震災から3年〜伝えつづける〜」
2011年3月11日午後2時過ぎ、あの大震災は発生しました。
テレビ画面には、浮遊物の混じった、どす黒い津波に追いかけられて逃げる1台の車が映し出されていました。過去に映画でこれに似た映像を何度も見ていたため、これが実際の映像ということに気が付くまでしばらく時間が掛かったように記憶しています。この時ほどテレビの伝達力・速報力の強さを感じたことは過去にありませんでした。
しかし人々の記憶というものは儚いものだとも言えます。時と共に事件は遠くなり、あの大震災すら数年もたてば人々の記憶から薄れかけています。こうしたなか「あの日・あの時を忘れてはいけない」との思いから被災地にカメラを向け、その現状を「公共キャンペーン」として紹介し続けました。被災者への微妙な取材に苦悩する若い記者、それをサポートするベテランスタッフとの葛藤を通して、奇を衒うことなく真摯な姿勢で追い求めていくその表現展開から、真実性の高い公共キャンペーンとして視聴者の心を響かせました。メディアに課せられた「伝え続ける」使命感を真摯に、誠実に描いた企業広告で、企業の強い意志を感じることができます。
プロデューサー:土方宏史、クリエイティブディレクター:都築 徹 ディレクター:清水淳之介、取材:鈴木祐司、カメラ:中根芳樹 音声:野瀬貴弘、編集:高見 順、音響効果:久保田吉根