なぜ「宮崎弁丸出し」のGILLEは魅力的なのか AKB48英語カバーのあの歌手が世界一へ挑戦

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ここでジルを知らない読者のために、彼女の本格的なデビューを飾ったときのエピソードを簡単に紹介させていただきたい。

「悲しい思い」を素直に歌に綴った

彼女が世の注目を集めるきっかけとなったのは「WILL」という曲である。実は、「WILL」を出すまでの彼女は、今から考えれば「すごい自分になりたい」「メジャーになって高いレベルで自分を試したい」という「向上心」「功名心」が先に立ちすぎていたのかもしれない。

それは彼女がデビュー前、スカウトをされるために単身で渡米、挑戦したことにも裏づけられる。以前から実力はあったのだが、結局本格デビューには至らないまま、定住することもなく、短期間で帰国した。

失意にある彼女を、ショッキングな事件が襲う。2010年の口蹄疫被害である。だがそれが結果として、人生の転機となった。彼女の実家は宮崎でも有数の牧場を経営しているが、疫病のため、実家の牧場でもほとんどの畜牛が殺処分となったのだ。

これを目の当たりにした彼女は、その思いを歌にすることにした。これこそ、彼女のデビュー曲となった「WILL」である。ちなみに当時の歌手名はTASHA gee(ターシャ・ジー)だった。「有名になりたい」「すごいといわれたい」というギラギラしたものではなく「素直な思いを吐露する」というこの「大転換」が、今の彼女の音楽活動のベースになっている。

そのための彼女にとっての「最良の方法」が宮崎弁なのだ。驚くのは、筆者のような宮崎出身でない者にも、彼女の情熱や感情がほとんど伝わっていると実感できるのである。そのことはとても不思議であり、本当に魅力的だ。

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