なぜか不機嫌に見られ損している人の顕著な特徴 誤解されない人は顔のパーツの動きが違う

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特に、感情労働に携わる、例えば、接客業の方々。表層演技では、先に書いたように本心が漏れ出てしまうだけでなく、心が疲弊してしまいます。

また、接客=笑顔と機械的に考えてしまうと、謝罪やクレーム対応、緊急事態といった笑顔がふさわしいとは限らない場面でも笑顔を作ってしまい、笑顔なのに好印象を与えない、ということにもなります。TPOが重要なのです。

最後に、機嫌は悪くなく、普通に振る舞っているのに、不機嫌に見られてしまう人のケースです。

これにはどんな原因が考えられるでしょうか。

1つ目として、顔の造形やしわによる可能性が考えられます。一般的に、無表情の男性は怒っているように見え、女性は驚いているように見えます。これは男女の顔の形の違いや眉や口のパーツによるものです。個人差が大きいと考えられますが、こればかりは生まれ持ったものですので、しかたありません。

しわについて、特に好印象に影を落とす可能性のあるのは、眉間のしわです。しわは、年輪の如く、感情が表情として表れ、それが蓄積した結果です。人生を通じて、熟考や怒りの表情を多く表してきたならば、眉間に縦じわが刻まれていることでしょう(カルロス・ゴーンさんの顔を想像してください)。

眉の動きが重要なポイント

2つ目は、自身が話をするときに無表情になっているか、会話相手の喜怒哀楽に無表情で反応している可能性が考えられます。

通常、私たちが会話をするときは、自身の話に込めたい感情に連動して表情が動きます。また、相手の感情を受けても表情は動きます。特に眉が上がったり下がったりします。眉が動かないのは、込めたい・受け入れたい気持ちが弱い、自他の話に興味・関心がない、そんなときです。

これら2つの問題に関して、どのような改善策があるでしょうか。最初は、表層演技から入り、次第に深層演技ができるようになるのがよいと考えます。

例えば、会話中、会話のリズムに合わせて眉を上げてみる。会話中が難しいなら、朝挨拶するときに、ちょっと眉を上げ、「おはようございます!」と言ってみる。相槌するときに、眉を上げながら「そうなのですか!」と言ってみる。

1日の中で何度か、口角を上げ、笑顔を作ってみる。私たちの身体には、楽しいから笑うだけでなく、笑うから楽しくなるという、感情と表情が双方向に行き来する機能が宿っています。口角を引き上げることを習慣にするうちに、ポジティブな感情を受け入れる器が醸成されるでしょう。

ちょっとした気くばりで周囲に与える印象は変えられる(空気を読むを科学する研究所)

表情を動かすことに慣れてきたら、状況に応じた、TPOに合う感情と表情について考えてみるとよいでしょう。深層演技は習得に時間がかかるかもしれませんが、眉や口角を上げる試みは、ちょっとした気くばりと言えます。そんな気くばりが身に付けば、不機嫌に見られる人とはオサラバです。

清水 建二 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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しみず けんじ / kenji shimizu

1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

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