それがズバリ、この表である。実はこの表、公務員試験などを受験する学生にはおなじみの「マトリクス表」というものだが、高校生でこの表を瞬時に作れるのは、物事の本質を見抜いている証拠であると言える。
たとえば今回メインで取り上げた「チャンとフミ」の問題の前には、「これらの学生にいちばん話されている言語は何か?」という問題があったが、この表を左から右に眺め、○印の数を数えれば、答えがスペイン語であることは一目瞭然だ。
「チャンとフミ」の問題に戻ろう。両者が会話を交わすためには、日本語とスペイン語を話せる学生が1人ずつ媒介者とならねばならない。つまり、図解するとこうである。
よって、ベッツィは必須で、あとはアナかデヴイのうちどちらか1人がその役回りを負えばいい。答えは「2人」が正解となる。
さて、それでは通訳なしにフミと会話が可能なのは誰か。また、ベッツィとチャンの間をとりもてるのは誰か、考えてみよう。これも「チャンとフミ」の問題とともに出題されているものだが、マトリクス表で視覚的に、しかも瞬時に分かる。
少しずつ「学ぶこと」への障害を取り除く
では、どうすればこのような考え方が身につくのか。私の場合、このような思考パターンが形成されていない子に接するときには、まず(煙たがれない程度に)目の前にある問題に様々な角度から質問し、問題の所在を解きほぐすようにする。
特に多浪生は、こちらが最初からエンジン全開で接すると、相手の緩く回転しているタイヤと私のタイヤとの歩調が合わず、スピンしてしまう可能性がある。だから少しずつ心の中に入り込み、学ぶことに対する障害も取り除きつつ、控えめなアプローチをするように心がけたい。そして、
① 物事をよく観察し、そこから客観的に分かることを箇条書きにさせる
② 箇条書きしたポイントをもとに自分の頭で何が分かるか考察させる
という2つのプロセスをひたすらくり返させていたのである。
こういう地道なトレーニングを積み上げていけば、「できない子」も「できる子」に徐々に近づいていく。考える力は次第に身についていき、「本物」になるのである。
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