「乗降首位」山陽明石、乗り換え駅だけでない素顔 人口増加を反映、「子育ての街」玄関口の一面も

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兵庫電気軌道開業時、港の乗船場近くに明石駅が設けられた。1931年に国道2号上にあった明石駅前から明石までの区間が廃止され、明石駅前は100m北に移設した。1943年に「電鉄明石」に改名。1991年4月3日に高架駅となり、4日後の4月7日、現在の山陽明石へ駅名が改まった。

高架化工事中の電鉄明石駅付近
高架化工事が進む当時の明石駅付近。右側は旧地上駅(写真:山陽電気鉄道)

現在の山陽明石は高架の2面4線で、3階にあるホームの1・2番線が姫路・網干方面、3・4番線が神戸・大阪方面。ホームの東端付近にはビルの隙間に明石海峡を望めるポイントがある。

同駅の歴史を伝えるかのようにゼロキロポストも立っている。運用面では、駅の東側に中線、西側に渡り線があり、両側で折り返すことができる。

2階は東西に改札口が分かれる。駅の窓口や事務室があり自動改札機の台数も多いのは西改札口。改札外で「山陽たい焼き」の店舗が出迎える。

一方、東口はパピオスあかし2階に直結するペデストリアンデッキへのエレベーターがあり、ベビーカーでの利用にも便利という。魚の棚まで雨に濡れずに行くことができる。

東西を結ぶ改札外の通路には「山陽そば」の店舗がある。地下ではスーパーマーケットの「三杉屋」が営業。商業施設には「グルメファクトリー」という名称が付いている。

子供の利用が目立つ駅

明石出身の経営統括本部総務・広報担当の山口風馬さんは「都会といなかのちょうど中間にあっていちばん住みやすい地域。商業施設から海などの自然までそろっていてすべてがここで完結する」と話す。

山陽明石駅長と山陽電鉄の総務・広報担当者 山陽明石駅ホーム
山陽明石駅の中坪一弘駅長(左)と総務・広報担当の山口風馬さん(記者撮影)

平日朝のラッシュ時間帯は高砂市や加古川市にある駅から乗車し、山陽明石でJRの新快速などに乗り換える乗客が多い。一方、日中と休日は明石公園やパピオスを訪れる親子連れが目立つ。

中坪一弘駅長は鉄道がない宍粟市の出身で1987年に「電車を知らんまま入社した」。飾磨駅を皮切りに、車掌、運転士を経験。2019年に明石駅の助役となり、2023年9月、駅長に就任した。

最近の利用動向については「普通車(各駅停車)で到着する明石市内からの乗客が増えている」と指摘。「行楽シーズンには市内の幼稚園や保育園、小学校から天文科学館などへの団体利用もある」と説明する。

「子育ての街」はその玄関口となる駅の利用者層にも変化をもたらしている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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