例えば、テスラのEVは運転席周辺のデザインがシンプルで、中国製EVのような(多機能ぶりを強調した)スマート・ダッシュボードは搭載していない。しかし(中国を除く)グローバル市場では、そのことがテスラ車の競争力低下につながっていない。
反対に、外資系自動車大手がグローバル・モデルとして開発したEVは、中国市場の感覚ではスマート化が不十分で、消費者に敬遠されている。例えば、VWの「ID.シリーズ」はヨーロッパ市場での販売は好調だが、中国市場では売れ行きがぱっとせず、VWは大幅な値下げを迫られた。
注目すべきなのは、スマートカーの車載機器とスマートフォンの連携が、海外市場を開拓したい中国メーカーにとっても、中国市場で巻き返したい外資系メーカーにとっても、意外な障壁になっていることだ。
スマホアプリの違いが壁に
「車載機器と連携するスマホのアプリのエコシステムは、中国と海外では大きく異なる。例えば、中国で広く普及している地図アプリ『高徳地図』は、海外ではほとんど使われていない。中国メーカーが海外市場でスマートカーを売るには、別の地図アプリのプロバイダーと提携する必要がでてくる」。前出のマッキンゼーの管氏は、そう指摘する。
一方、外資系メーカーは中国の消費者の支持を取り戻そうと、スマート化関連の技術開発の現地化を急いでいる。例えばVWは、ドイツにあるソフトウェア開発子会社の初の海外法人を中国に設立した。
「中国市場と海外市場の現状は異なるが、自動車メーカーは腹を括ってスマート化の推進とそのための開発投資を続けるべきだ。海外の消費者も、徐々にスマートカーの新機能を受け入れていくだろう」。管氏はそう強調する。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月19日
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