ヒルトンの「旅館見下し動画」大炎上も当然の理由 有名ブランドが比較広告を出す危うさ
この動画は、旅館のフロントで着物姿の女性が、客のカップルに説明する場面から始まる。
「次にご入浴は5時から11時までになります。ご夕食は6時にお部屋にお持ちいたしますので、必ず9時までに食べ終えてくださいませ。朝食は7時から10時まで、ラストオーダーは9時半。8時ごろは大変混み合います。チェックアウトは朝10時、こちらが部屋の鍵になります」
立て板に水のように説明する従業員に、ドン引きの表情を見せるカップル。まだまだ続く説明に、「せっかくの休みなのに、まったくゆっくりできないとき……」のナレーションが重ねられた途端、カップルは、ヒルトンが展開する高級ホテル「コンラッド(CONRAD)」へと瞬間移動する。夜景を楽しむ2人に、こちらの従業員は「ごゆっくりされるなら、ディナーの時間をずらしますよ」と提案するのだった──。
不快に感じるネットユーザーが続出、動画は非公開に
この動画をめぐって、X(旧ツイッター)などでは、批判の声が相次いだ。「旅館の良さが描かれていない」「日本文化を軽視している」「単純に下品」などと、その内容は多岐にわたるが、不快に感じたネットユーザーは多く、「炎上」となった。
当該動画は11月15日までに非公開となり、各社報道を総合すると、ヒルトンは「誰かをおとしめる意図、否定的な印象を与える意図はなかった」などとコメントし、再発防止に努める方針を示しているというが、いまなお「延焼」は続いている。なお11月17日午前時点で、まだヒルトン公式サイトでのコメントは出ていない。
SNS投稿の中では、「比較広告は、ヒルトンが拠点とする欧米では珍しくない」との指摘も見られる。実際、筆者自身も本件を聞いて、まずコカ・コーラに対するペプシのそれを思い出した。
しかし、この場合は「ナンバーワン企業に立ち向かう」のような大義名分があり、「相手も売られたケンカを買ってくれる可能性がある」といった環境下にあるため、今回のヒルトン広告では、若干状況が違うように感じられる。
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