北朝鮮でカップルに人気の「意外な商品」 なぜ平壌で「消費ブーム」が起きているのか
2014年9月に開催された、秋季の平壌国際展覧会の様子は「東洋経済オンライン」でも紹介した(「北朝鮮に消費ブームがやってきた」)。今回も、平壌市民のニーズに沿った企業が出品する商品が人気を集めたようだ。では、実際に出品した北朝鮮企業には、どんな会社があるのか。
蓄電池利用TVなど、「電力不足対策」の製品が人気
「電力状況が厳しいわが国だからこそ、最も需要が高い製品」と、ピョルムリ貿易会社技術準備室のパク・ヒャンソン室長(35)は、蓄電池を利用したテレビを出品、来場者に強くアピールしていた。
水力発電が主な発電源の北朝鮮では、気象状況によって電力供給が左右される。また火力発電所などの施設も老朽化しているなど、最大のネックが電力供給にあるのが実状だ。そのため、中国などから輸入した発電機や電池のニーズが、北朝鮮ではとても高い。
ピョルムリ貿易会社はもともと、家庭用電子製品や情報技術を持つ電子製品メーカー。従来から蓄電池を内蔵したテレビはあったが故障が多く、ユーザーからの不満も多かったと打ち明ける。
だが「部品の質を高め、内蔵するプログラムも大幅にバージョンアップさせたことで、消費電力を自動的に調整できるようにした。このため、長時間の視聴が可能になりユーザーからは好評を得ている」と胸を張る。この展覧会初日には、販売用に持ってきたテレビの半分以上の台数が売れたという。
一方、ずらりと並ぶ靴を背景に「特に女性たちに人気」と顔をほころばせるのは、ホンソン貿易会社のリャン・チュングン課長(53)。
同社はもともと北朝鮮の伝統的な材料や技術を使って手工業的な製品をつくっていた。だが、「質もデザインもよくなく、製品数も3~5つ程度だった」と言う。
ところが、靴の研究を行い、ナノ技術をつかった製造方法や材料・製品の殺菌処理といった品質・デザイン力の向上に努めたところ、人気を高めることができたという。
「履いてから2、3年は大丈夫。水に濡れても変形しない。これまで外国産を選んでいた北朝鮮の女性も、わが社の製品に目を向けてくれるようになった」(リャン課長)。
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