日本人をさらに貧乏にする2024年「新紙幣」の盲点 「経済効果1.6兆円」は全体を見ないまやかしだ
この10月、三菱UFJ銀行の窓口での振り込み手数料が、最大990円に上がった。引き上げた理由は、マイナス特需を埋め合わせるため。そのマイナス特需こそが新紙幣発行への対応だ。銀行は紙幣処理のために使用しているATMなどの機械をすべて新札に対応させないといけない。
1.6兆円の「経済効果」を負担しているのは僕たち
新紙幣の発行が、紙幣の処理を行う機械メーカーに特需を生み出しているとか、1.6兆円の経済効果があるというニュースを聞いた人も多いだろう。しかし、経済効果というのは、仕事が増えて、お金も増えると言う話ではない。
仕事が増えるのは間違いないが、お金は移動しているだけ。機械メーカーにとっては特需でも、支払う側には、マイナス特需になる。
日本銀行は紙幣を発行するために新しく印刷機械を買わないといけないし、金融機関はATMなどの機械を一新する。民間企業は自動販売機や駐車場の精算機などを買い替える必要がある。これら機械の購入に使われる費用の合計が1.6兆円だ。これを経済効果と呼んでいる。
1.6兆円分の特需によって、ATMを作る会社や関連する会社の売り上げが増え、そこで働く従業員の給料は増えるし、新たに雇われる人もいるだろう。ここまではいい話だ。
ところが、1.6兆円もらえるのは、生産者側の視点にすぎない。一方では、社会全体の支出も1.6兆円増えている。
1.6兆円を1億2000万人で負担するということは、1人あたりにして1万3000円。銀行の手数料で支払うのか、自販機のジュースが値上げされて支払うのかわからないが、とにかく誰かが支払わされるのだ。
僕たちの財布の中のお金は知らないうちに減っている。
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