静岡「新幹線停車数」リニア開業前でも増やせる? 現行ダイヤで試算、「のぞみ」の停車も可能か

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肝心なのは静岡駅停車が実現した場合の所要時間だが、既に深夜帯には新横浜―名古屋間で静岡駅のみ停車の下り「ひかり661号」と上り「ひかり666号」がある。この列車の時刻を参考にすると、新横浜―静岡間は38分、静岡―名古屋間は43分と想定できる。これに停車時間1分を加えても、現状の新横浜―名古屋間1時間22分に収まる計算だ。

この通りになれば東京―静岡間は日中も56分(8分短縮)、静岡―新大阪間は1時間33分となり、なんと日中のダイヤ比較で14分もの短縮になる。ただ、どちらの列車も臨時運転枠で、毎日・毎時の運転でない点は残念なところである。

「のぞみ」の静岡駅停車について、交通評論家の佐藤信之氏は「鉄道事業法施行規則第32条により、新幹線の料金は在来線と違って事前に認可が必要。となると、『のぞみ』を静岡に停めると料金の認可申請をしなければならないと言うこともありうる。だが臨時で停めるのは簡単だ。なぜしないのか。JR東海が地元にいい顔ができるチャンスなのに」と筆者に対してコメントした。

もし停車すれば大幅時間短縮に

さて、実現できそうとなると、続いて気になるのは静岡駅の発車時刻だ。現在のダイヤを基にすると、毎時1本の「ひかり」発車時刻のおおむね30分前、または後というベストタイミングになりそうだ。

【静岡駅 東京方面想定時刻】
07分
  のぞみ (先行ひかりの26分後)
25分 こだま (新大阪始発)
41分 ひかり (後続のぞみの34分後)
57分 こだま (名古屋始発)
【静岡駅 新大阪方面想定時刻】
07分  ひかり 
(後続のぞみの28分後)
21分  こだま (新大阪行き)
39分  のぞみ (先行ひかりの32分後)
52分  こだま (名古屋行き)

そして、静岡駅利用者以外の静岡県民にも朗報だ。「こだま」しか停まらない新富士駅・掛川駅の人にも時短効果がある。まず掛川―東京間は日中最速1時間32分が1時間25分へと7分短縮。新富士―新大阪間に至っては最速2時間17分が2時間4分と、13分も短縮される。しかも、これまでは「こだま」から静岡駅で「ひかり」に乗り継ぎ、京都駅で「のぞみ」に乗り継いで2時間17分だったのが、静岡駅での乗り換え1回のみで2時間4分になる。

のぞみ1号
東京発博多行きの「のぞみ」1号(撮影:尾形文繁)

冒頭で触れた国交省の試算では、静岡駅の1日停車本数は片道53本が80本になるとしていたが、仮に東京駅7〜20時台の毎時42分発のぞみを静岡停車としたうえで定期列車化した場合、静岡駅の停車本数は1日片道77本停車と、1.45倍にまで増える。つまりは現ダイヤでも静岡駅についてはほぼ国交省の試算通りにできるということだ。

いかがだったであろうか。意外と「のぞみ」の静岡駅停車は現実的なのではないかと捉えていただければ幸いである。停車しても所要時間が今と同じであれば静岡に関係ない利用者にも問題ないし、一部でも「のぞみ」が静岡駅に停まれば状況の変化が生まれるかもしれない。臨時列車としてでも、本稿で示したようなダイヤでの静岡駅停車はできるのではないだろうか。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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