中央線にも連結へ「通勤グリーン車」海外最新事情 香港の「頭等」、ドバイは路面電車にも上級席
多くの旅行者が利用する1日乗車券にもゴールドクラス用があり、価格は普通車用20AED(約820円)の倍額に当たる40AED(約1640円)だ。もともとの電車賃が安いという背景もあり、ゴールドクラスは展示会参加のビジネスパーソン、あるいはバカンス客を中心に一定の需要があるようだ。ドバイメトロは無人運転であり、観光客にとってはゴールドクラス車両の先頭車に乗れば沿線のパノラマが存分に楽しめるという利点もある。
ゴールドクラス乗車の際、ホームや車両には検札機に当たる仕掛けは一切ないが、かなり頻繁に乗務員がチェックに回ってくる。トラムは住民の身近な乗り物という意味合いが強そうだが、観光客の利用が見込まれる区間に走っていることもあり、それなりの需要があるようだ。
イギリスの1等車は「定期利用者」が多い?
実例の最後として紹介したいのは、イギリス・ロンドンの近郊列車だ。イギリスの鉄道は今は民営化されているものの、旧国鉄時代からの習慣か、短距離列車でも1等席が設けられている編成がある。さすがに1両すべてを優等席にするほどの需要はないとみられ、運転台のすぐ後ろに定員8人分の小部屋を作り、そこを1等席としている。
イギリスでは乗車券がそもそも「1等用」と「普通(2等)用」
問題は課金のシステムだ。ホームを含む駅構内には1等席利用のための承認用マシンや着席券販売機といったものはなく、利用するなら自販機で1等運賃の紙のきっぷを購入しなくてはならない。とはいえ、1等席に着席したところで、列車内で検札している様子も見たことがない。
ではいったい誰が乗っているのか。すべての1等席利用者に尋ねたわけではないが、多くは「1等席定期券」で乗車しているとみられる。1等席ならまず間違いなく座れるので、金銭負担を増やしてでも、着席して仕事の整理ができるのは時間の有効利用にうってつけだ。
ユニークなのは、スポーツイベントなどが行われる際には1等席のサービスを打ち切って、一般旅客を1等席の小部屋に入れるという運用がなされている点だ。1等席の意義がより求められるのは平日の通勤時間くらいで、週末はそうした価値がより低いと考えていると言えようか。
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