中央線にも連結へ「通勤グリーン車」海外最新事情 香港の「頭等」、ドバイは路面電車にも上級席

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車内の設備は、一般車両が金属むき出しのロングシートなのに対し、ファーストクラスは全席クロスシートで薄いながらもモケットが掛かっている。座席指定はないが、それでも出退勤時間には「座れなくてもファーストクラスのほうが混み具合が緩い」とあって、香港北部の新界(ニューテリトリーズ)地域から都心へのビジネスパーソンの利用が多い。

利用者がファーストクラスに乗車する際は、ホームにある専用センサーに非接触式ICカード「オクトパスカード(八達通)」をタッチして乗る。料金は通常料金の2倍だ。ICカードをタッチする点は首都圏のJRグリーン車と似ているが、異なるのはタッチするセンサーが座席ではなくホーム上にある点、そしてグリーン車のように、ホームにある券売機でICカードにグリーン券の情報を書き込んだり、事前にチケットを購入したりする必要はなく、センサーにタッチするだけで特別料金が引き落とされ、乗車できることが特徴的と言えようか。

香港MTR 頭等タッチセンサー
香港MTR東線の「頭等」を利用する際は、ホーム上にある機械にICカードをタッチする(筆者撮影)

香港の場合、ユニークな仕組みがある。車内が混み合っているとき、着席したいと思う乗客はファーストクラス車両端の連結部に備えられたセンサーにICカードをタッチして、ドアを開けて入れば乗車できる。首都圏JRのグリーン車では、ピーク時にはグリーン車と普通車の間を閉めるという方策を取っているが、香港ではいわば「日本の逆」といった格好となっているのが興味深い。

香港と隣接する中国広東省深圳市を走る地下鉄路線の一部にも同様の優等車両連結列車が走っている。国際空港と市内中心地を結ぶ区間で運行されており、香港とほぼ同じ仕組みで利用できる。どちらも基本運賃に優等車両に乗車するための追加料金を払う「上乗せ」の形なので、日本のグリーン車のスタイルに似ている。

深圳地鉄 優等車
中国・深圳の地下鉄の一部にも優等車両がある(筆者撮影)

ドバイは路面電車にも「ゴールドクラス」

地下鉄、さらにはトラム(路面電車)にも優等座席があるのがアラブ首長国連邦(UAE)のドバイだ。地下鉄の片側一方の先頭車が「ゴールドクラス(Gold Class)」と呼ばれる上級車両となっている(ちなみに、もう片方の先端車は女性専用車両)。利用料金は普通車の運賃に追加分を支払うのではなく、改札外であらかじめゴールドクラス用のチケットを購入する。

車内設備を比べてみると、普通車がロングシートや2人掛けクロスシートがメインなのに対し、ゴールドクラスは1人掛けシートが並列または単独で設置されている。テーブルが付く仕様もあってなかなか快適だ。

ドバイメトロ ゴールドクラス
ドバイメトロのゴールドクラス車内。通勤時間は混み合うため、立ち席旅客への配慮もある(筆者撮影)
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