首相主導の所得税減税は国民心理の愚弄に近い。強行すれば、国民は重要施策向けの増税に反発必至だ。
岸田文雄首相が突然所得税減税を打ち出したことで、政権の潮目が変わりつつある。
首相が所得税減税を検討するよう与党に指示したのは10月20日。22日の衆参補選投票日を前にした動きに、選挙目当てのばらまきだと疑われた。
過去を振り返ると、1979年に大平正芳内閣が衆議院解散に際して一般消費税導入を閣議決定したものの選挙戦のさなかに撤回、98年には橋本龍太郎内閣が参議院選挙の投開票直前に恒久減税を発表し、それぞれ敗北を招いた。今回の補選も、自民党の固い支持基盤であったはずの参議院徳島・高知選挙区では野党候補に大差で敗れ、衆議院長崎4区では野党の追い上げに直面したものの、辛くも自民党は議席を守った。
何にも増して、岸田内閣と首相への評判が悪い。10月の報道各社の世論調査では、軒並み発足以来最低の内閣支持率を記録した。また不支持率も高いレベルに位置した。もはや内閣を支えるのは自民党支持層のみであり、無党派層はおおむね支持していない状況だ。
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