「解散命令請求」だけで統一教会問題は解決しない フランスや韓国の「組織的な人権侵害」への対応
さらにこの判断に至る過程で、慎重に宗教法人審議会にも諮ることを重ねてきたともいう。
宗教法人審議会は宗教学者、法学者、また広範囲の宗教界の代表者も加わっており、文部科学大臣はその合意を踏まえたものであることも明らかにしている。
解散後の宗教集団にどう対処するか
一部に信教の自由への国家による制限として懸念する声もあるが、解散命令が降されたとしても、結社の自由や宗教活動そのものの制限に及ぶものではない。
宗教法人ではなくなり、税制の優遇措置はなくなるが、宗教活動を行うことを制限するものではなく、形を変えて任意団体などとして存続することが予想される。
かつて解散命令を受けたオウム真理教の後継団体は今も複数存在している。解散命令を受けてはいないが、法の華三法行は、教祖福永法源が詐欺罪で摘発され、懲役12年の実刑が確定し収監され、一時は実質的に解体したが、その後、複数の後継団体が活動している。
裁判所が解散命令の判断を降すまでにまだ時間がかかると考えられるが、解散に至ったとしても問題がすべて解決するというわけではない。被害者への賠償が科せられたときにそれに応じるべく、教団の有する資産が保全されるよう、立法措置が検討されている。また、旧統一教会であることを伏せた勧誘活動や、信者からの財産の収奪などが行われなくなるかと言えば、そうなる保証はない。
2022年12月に成立した不当寄付勧誘防止法で取り締まるには限界がある。宗教法人は本来、文化庁宗務課の管轄だが、宗教法人でなくなった時にどの機関が教団を見ていくのか制度的基盤がない。違法行為に走る可能性が高い団体に対し、当局がどう規制するかという課題が依然として残る。違法な活動が行われないように見張るべく、法的措置が必要なのではないか。
オウム真理教の場合は、1999年に団体規制法が施行されたが、これは「無差別大量殺人行為を行った団体」に対するものだ。
参考になるのはフランスの反セクト法や韓国の国家人権委員会のような、その時その時の政権からは独立して判断ができる組織でなくてはならないだろう。
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