11年ぶり「マリオ」新作、遊んでわかる高評価の理由 よく考えられた「人の心を動かすデザイン」

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近年の「スーパーマリオ」シリーズは、画面の前に集まって最大4人同時に遊ぶというシステムを用意していた。これは大きく盛り上がるので非常に楽しいのだが、しかし年齢が高いプレーヤーになればなるほど人を集めることは難しくなる。

ならばインターネットを介して一緒に遊べるようにすればいいのだが、それはそれで問題が発生しうる。というのも『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のようなゲームでは、互いを押し合って妨害するなんて事故が発生してしまうからだ。

オフラインでは4人、インターネットでは最大12人で遊べる(画像は任天堂公式サイトより)

一緒に顔を突き合わせて遊ぶのであれば、そういう事故も楽しみのうちである。しかし、インターネットで知らない人と遊べばそれは大きな問題になりうるだろう。

相手を助けることはできるが、妨害はできない

そこで本作は、インターネットで遊ぶ場合は「互いにいい影響しか与えない」というシステムを採用した。やられた人を助けてあげたり、アイテムをゆずってあげたり、あるいは謎解きでヒントを与えたりということはできるが、妨害はできないのである。

これにより、インターネットで遊ぶとプレーヤー同士のゆるやかな交流が生まれる。たとえ1人で遊んでいたとしても、世界中の誰かと一緒に冒険しているような気分にさせてくれるのだ。

2Dアクションゲームとしての「スーパーマリオ」は1人で遊んでも楽しいが、しかしみんなで遊んだほうがより面白いのは間違いない。そこでこういった「問題を解決したインターネット要素」を取り入れたわけだ。

当然ながら、テレビゲームは人の心を動かす娯楽である。しかし、それを受け入れやすい形にする努力は必要だ。どれだけ面白いゲームでも、理解されなければ知る人ぞ知る作品で終わってしまうだろう。

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』はただ面白いゲームなわけではなく、遊ぶ側がそれを受け入れやすくなる姿勢も作ったのである。本作を体験した人は、改めて2Dアクションゲームの魅力に気づくだろう。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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